長野県上田市のサントミューゼにある上田市立美術館で開催されている『アルフォンス・ミュシャ ー煌めきの女神たちー』展に行ってきたのだ。
アール・ヌーヴォーを代表する画家として、日本でも絶大な人気を誇るアルフォンス・ミュシャ。
ミュシャ作品の世界的な収集家である尾形寿行氏のコレクションから、珠玉の作品約500点が展示されている。
全ての作品が写真撮影OKで思わず撮りたくなる、お洒落な作品ばかりである。
デザイナーや挿絵画家の経験もあり、舞台のポスター・酒・香水・たばこ・鉄道等の多岐に渡る商業ポスターを手掛けていたのだから、ミュシャの作品が写真を撮りたくなる衝動に駆られてしまうものであることは間違いない。
ミュシャの名を一躍有名にしたのは、舞台女優サラ・ベルナールの芝居『ジスモンダ』のポスターだ。
優美で華やいだ魅惑的な女性。ミュシャの作品は、時代を経ても決して色褪せることのない新しい感性に包まれている。
商業ポスターとしてだけではなく、アート作品としてコレクターアイテムにもなり増版された。
本来、消耗品でしかなかったポスターに芸術作品としての価値を付けた。
僕がミュシャの作品を見て思い浮かべるのは、『ジョジョの奇妙な冒険』である。荒木飛呂彦先生の作品も、カッコ良く怪しげな雰囲気が漂い滲み出ている。
19世紀後半のフランスではジャポニズムブームがあり、浮世絵や染型紙といった日本の美術がアールヌーヴォーの源のひとつになったので、ミュシャの作品が日本人に受け入れられ人気を博すのも理解出来る現象なのだ。
ミュシャの作品は本人が望んだように「芸術のための芸術」ではなく、「大衆のための絵」を描くことに徹している。
人々の暮らしの中にミュシャの作品が彩りを与え、生活へと溶け込み人々に愛される。
時代や国境を越えて、今もなお日本でのミュシャ人気は高い。
1910年ミュシャが50歳の時に、パリでの栄光を捨て祖国チェコへと戻り、全20作品にも及ぶ壁画サイズの歴史画『スラヴ叙事詩』の制作に専念。
ポスター等を描いていたミュシャの絵とは思えない印象を受ける。
ミュシャの絵は見ていて飽きることがない。古臭さもない。描かれた女性や商品の魅力が十二分に引き出され、目に触れた者の心を強く惹きつける効果を生む。
ミュシャの下に仕事の依頼が舞い込んでいくのは容易く想像が出来るのだ。
とても興味深い画家である。
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