海外でも評価が高く、レビューを見ていても絶賛している人が多かったが、僕は全然刺さらなかった。
『初恋』 役者さんの怪演は見どころ。 アクションはテンポが悪くてノれなかった。 監督:三池崇史 出演:窪田正孝, 大森南朋, 染谷将太, 小西桜子, ベッキー |
『初恋』は、カンヌ国際映画祭2019「監督週間」に選出された鬼才・三池崇史監督が窪田正孝を主演に迎えて描いたオリジナルストーリー。
レオ役を窪田、大伴役を大森南朋、モニカ役をオーディションで選ばれた新人の小西桜子がそれぞれ演じるほか、内野聖陽、染谷将太、ベッキー、村上淳、滝藤賢一、ベンガル、塩見三省らが顔をそろえる。
2019年製作/115分/PG12/日本
配給:東映
天涯孤独ながら希有な才能を持つプロボクサーの葛城レオ(窪田正孝)が、負けるはずのない相手との試合でKO負けを喫した。
その試合後の診察で余命いくばくも無い病に侵されていることを知る。
自暴自棄になったレオが繁華街を歩いていると、男に追われる少女に出くわして、レオは条件反射的に男をKOした。
気を失った男のポケットにあった警察手帳をとっさに懐へとしまうと、少女の後を追った。
少女はモニカ(小西桜子)と名乗っていて、親の虐待から逃れるように街へ流れついて、ヤクザに囚われていたことを明かす。
KOされた男は悪徳刑事・大伴(大森南朋)でヤクザの策士・加瀬(染谷将太)と裏で手を組み、ヤクザの資金源となる“ブツ”を横取りしようと画策、モニカを見張っていたのだが・・・。
ヤクザと大伴から追われる身となったレオは、モニカと自らの境遇が重なる部分もあり、どうせ短い命ならと半ばやけくそで彼女を救おうと決意。
一方で、モニカと共に資金源となる“ブツ”が消えさらにヤクザの一員・ヤス(三浦貴大)が殺されたことを彼女のジュリ(ベッキー)から知らされる組員一同は、組長代行(塩見三省)の基で今にも一触即発の様相を呈して、一連の事件をチャイニーズマフィアの仕業だと踏んだ。
組随一の武闘派・権藤(内野聖陽)が組の核弾頭・市川(村上淳)と共に復讐を決意し、ジュリも後を追った。
ヤクザとチャイニーズマフィアに悪徳刑事。
ならず者たちの争いに巻き込まれた孤独なレオとモニカが行きつく先に待ち受けるものとは・・・。
海外での評価が高いらしく、気になっていたので観た。
良かった点は、やはり役者さんの怪演っぷりだろう。染谷将太、大森南朋、ベッキーは最高にクレイジーで面白い。
特にベッキーは、どハマりしていたと思う。端正な顔立ちと「ベッキーはイイ子」という殻を破って、最高に狂った芝居をしていて非常に好感が持てるし、ベッキー以外には演じられないのではないか?という疑問さえ芽生えるぐらい良かった。
モニカと呼ばれる少女は、役柄として僕が嫌いなタイプ。おとなしそうな顔して被害者面して周囲をトラブルに巻き込むサイテーのクソ女だ。
窪田正孝が、警察をとっさに殴ってしまったのはわかるが、「何故、警察手帳を盗んだんだろう?」。その疑問が拭えない。
本作は、物語の筋は面白いと思うけれど、テンポが悪くてイライラした。
ベッキーが、車に乗った染谷将太を襲いかかるシーン。染谷将太が大森南朋に「バック!バック!」と車を後退させるように叫ぶが車は動く気配なし。何故?
ベッキーが車に乗っかり窓ガラスをぶち破り、染谷将太に襲いかかるまで車は全然バックしない。まるでベッキーに襲われるのを「待っている」かのように。
車が後退してくれないので、まんまと襲われて負傷してしまう染谷将太。そして、やっと車は後退して逃げ出す。
またホームセンター内での死闘を繰り広げる中、遂に大量のパトカーに囲まれてしまう。
大森南朋が警察に撃たれてしまった後、大量に集まったパトカーたちは「動く気配なし」。
ホームセンター内に警察が乱入してくるのか?と思いきや、ホームセンターの外でずっと待機しているのだ。
また窪田正孝と拳銃を突き合せて対峙したマフィアは、「拳銃を下に置いて蹴れ」と窪田正孝に命令をする。カタギである窪田正孝は命令通りに拳銃を置いて蹴る。マフィアに捕らわれたモニカ、拳銃を向けられた窪田正孝、絶体絶命の大ピンチである。
しかし、その後マフィアは何もせずに黙って窪田正孝に銃口を向けているだけ。「何、してるの?」という時間が流れて、幻覚を見たモニカに股間を蹴り上げられてしまう。・・・意味がわかりません。
モニカは「パンツ一丁の男に追いかけられる幻覚」に怯えているのだが、そもそも「パンツ一丁の男の何が怖いのか??」大きな疑問である。映画としての遊び心は理解出来るが、「何が怖いのか?」理解出来ない。
マフィアと窪田正孝の殴り合いが始まって、「遂に天才プロボクサーである窪田正孝の見せ所」が展開される。だが、天才プロボクサーのパンチを幾ら喰らっても、ダウンしないマフィア。グローブなしの素手で殴られているのに、全然決着が付かない。「どこが天才プロボクサーやねん!」フツー、まともに一発喰らったら即ダウンだと思うけど。
ラスト、ヤクザを後部座席に乗せて窪田正孝が運転する車で、大量のパトカーからの逃走劇。ここは凄まじいカーチェイスが見られるのか?と思っていたら、これがまた非常にちんたら走っている。「お前ボクサーだろ?」「試合見に来てたんですか?」なんて、のんきな会話をしながら、ゆっくりと走っているのにパトカーは全然追いつかない。
挙句の果てには、窪田正孝とモニカが車から降りてヤクザと運転を交代するが、全然パトカーがやって来ない。あんなにゆっくりと走っていたのに!
ヤクザに運転を代わった瞬間、パトカーが追いかけてくるのだ。
もうアクションのテンポが悪すぎて全然ノれなかった。役者さんの怪演が光り面白そうになるはずだったが、キツかった。
ということで、「カット、カット」。
この記事へのコメントはありません。