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『法然上人絵伝~親鸞が追い求めた師の姿~』南無阿弥陀仏。

然上人の生涯の行状を描いた伝記絵を拝みに行ってきたのだ。

20年もの間、山梨に在住しながら何度か前を通り過ぎた事はあったのだが、初めて山梨県立博物館に行ってきた。

紅葉彩る博物館に秋の風が心地良い。

綺麗に手入れされたエントランス前は、お客さんを心地良く迎え入れようとするスタッフの美しい姿勢が有難い。

今回の企画展は『法然上人絵伝~親鸞が追い求めた師の姿~』である。

 

法然上人絵伝~親鸞が追い求めた師の姿~

 
浄土宗を開いた法然とは、浄土真宗の宗祖・親鸞の師である。

山梨県立博物館所蔵の重要文化財「法然上人絵伝」は、甲州市勝沼町の浄土真宗寺院万福寺に伝わったもので、掛軸形式の絵伝の中では最古級の作品として知られている。

本展では3年間の修理を終えた本作を修理後初公開されているのだ。

浄土真宗では法然の生涯を描いた「絵伝」を大きな掛軸にして、その教えを広めたという。

浄土宗を開いた法然は「南無阿弥陀仏」と唱える事のみであらゆる人は救われると説いた。

「法然上人絵伝」では、法然の伝説を絵で表現されていて大きな掛軸として残されている。

 

法然伝説

 

  • 長承2年(1133)、美作国(現在の岡山県)で法然誕生。勢至丸と命名される。
  • 9歳の時、時国邸が明石定明の夜討ちに合い父親を殺されてしまう。幼いながらも勢至丸の放った矢が定明の左目を射る。その後、「仇を恨まず、極楽往生を願って念仏を唱えよ」と父親の遺言に従い出家の道を歩む事になる。
  • 15歳の頃に比叡山で修行の道へと進むも、あまりの賢さに「文殊菩薩(もんじゅぼさつ)」と呼ばれた。
  • 叡山西塔黒谷にて法華三昧の修行中に、白象に乗った普賢菩薩(ふげんぼさつ)が現る。
  • 密教修行中、密教法具が現る。
  • 「華厳経」被講の際に、華厳守護神の龍が青蛇になって経机に現れる。
  • 夢の中で、法然がその教えに心酔した中国のお坊さんで憧れである半金色の善導大師と対面して、専修念仏を相承される。
  • 厠(お手洗い)の中でも念仏を唱える法然。念仏は時も場所も選ばない。
  • 右目と口から光を放つ。天上より楽器現る。
  • 当時の有力な貴族である九条兼実は見たという。法然が頭から光を放ち、足元に蓮華が生じて宙に浮く姿を。
  • 建暦2年(1212)、多くの人々に見守られて、臨終の時を迎える。

 

感想

 
一部の伝説を抜粋したが、「法然上人絵伝」に描かれた事象は、もっと多く描かれている。

もちろん絵を見ただけでは、その意味の全てを理解する事は難しいが、資料とともに目を通すと実に考え深く面白い。

現代の僕たちの世代まで大事に所蔵されて、繊細な技術によって修理されながらも、こうして拝見出来る事はとても貴重な体験である。

余談ではあるが僕自身も「南無阿弥陀仏」と唱える事がある。

睡眠中に霊的な現象が起こる事がしばしばあり、心の中で「南無阿弥陀仏」と唱えると、不思議とその現象が晴れるのである。

また話は変わるが、天空から菩薩や楽器が現れるという法然の伝説では、高畑勲監督の『かぐや姫の物語』が頭に浮かんだ。

かぐや姫の物語
監督:高畑勲

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『かぐや姫の物語』での月から迎えにくる幻想的なシーンは、素晴らしい表現であった。

企画展での「法然上人絵伝」を見た後は、常設展を観覧した。

4500年前の縄文土器や山梨県の歴史が展示されていて、文化や歴史の面白さに触れて、ちゃんと勉強したい気持ちになった。

日本美術史を語る上では、縄文時代にまで遡るものだ。

岡本太郎が縄文土器に惹かれたように、太古から芸術があり、企画展で見た「法然上人絵伝」や仏像等、その歴史は非常に興味深いのである。

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