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松本亮平展『温故知新』新しき作品世界

本橋で開催されている松本亮平さんの個展『温故知新』を楽しみに5日(土)、REIJINSHA GALLERYに訪れた。

 

温故知新

 
今回の個展『温故知新』は『美術屋・百兵衛』で亮平さんが連載しているコラムと同一タイトルである。個展会場に展示された作品を見れば、そのタイトルに込められた想いが「なるほど」と合点がいく。

作品『絵画修復士』は、古く傷んでしまった絵画を猫が修復している様子が描かれている。

よく見ると修復されている絵画にはキラキラと金色の粒子が幾つも輝いている。

手前で絵筆を握っている猫と修復途中の絵画が同化してしまわぬように、猫と絵画の間に陰影を付けて、おまけに修復されている絵画のかすれをリアルに表すために金色の粒子が散りばめられている。

下地を金色に塗り、上からアクリルで塗った絵をヤスリで削って表現したらしい(詳細を説明して頂いたが、超簡単に言うとこんな感じだと思う)。

細やかな工夫や創作の楽しみの探求心によって、絵画修復をする手前の猫が浮き出るようになされている。

額縁のガラスが反射して写真では少々見えづらいが、実際に肉眼で確かめて欲しい作品だ。

画家と助手』では長沢芦雪の『虎図』の襖絵を、画家の「虎」と助手を務める「猫」たちが力を合わせ描いている様子が表現されていて非常に微笑ましい光景である。

虎の持つ絵筆に「松本亮平」とサインが記されていることも面白い。

ユニークな発想と遊びゴコロが満載な亮平さんの作品には、幾つもの細やかな仕掛けが施され、見れば見る程に新しい発見がある。

背景を黒で猫を描いた『毛糸肩掛けをする猫像』は、岸田劉生の『麗子 毛糸肩掛けして人形を持つ肖像』をオマージュしている。

「麗子像」の目は確かに特徴的で猫の目のようだ。その猫のような目を、本当に猫の目にしてしまうのだから可笑しく楽しい。

放生会』は、魚や鳥等の生きものを野に放って殺生を戒める儀式である。

魚は川に放たれる。

鳥は空へ

背景に描かれた建物は築地本願寺だ。

「放生会」は古代インドに起源を持つ行事で中国や日本にも伝わってきたのだという。

展示会場ではなんと13種もの『ことわざ猫』が壁に散りばめられていて、可愛さと愉快さを掛け合わせた心をくすぐられる作品が披露されている。

怠け者の足元から鳥が起つ』。

猫被り』。

頭隠して尻隠さず』

‐ 温故知新 – 古き作家や作品をたずねながらも、亮平さんはいつでも新しい挑戦や新しい作品世界を見せてくれる。

長沢芦雪や「麗子像」などのオマージュ作品を見て「どこかで見たことのある作品」だと一瞬思うが、「どこにも見たことのない作品」であると改めて認識するのだ。

過去の作家や作品から学び、尊敬して、新たなる創造を生み出し続けている。

亮平さんの情熱と創造力、新しい挑戦は止まる所を知らない。

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