『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督による劇場長編第二作目、『スペシャルアクターズ』を観た。
『スペシャルアクターズ』 無名の役者の個性を引き出す監督の手腕。 テクニックも脚本も優秀だが・・・。 監督:上田慎一郎 出演:大澤数人 河野宏紀 富士たくや |
『カメラを止めるな!』がインディーズ映画として、社会現象を巻き起こした上田慎一郎監督の劇場長編第2弾。
松竹ブロードキャスティングのオリジナル映画プロジェクト第7弾で、プロアマ問わず1500人のオーディションから選出した15人のキャスト。
脚本は『カメ止め』同様、上田監督がキャストたちのあて書きで執筆。
上田監督が脚本、編集、宣伝プロデューサーを兼任。
2019年製作/109分/G/日本
配給:松竹
売れない役者の和人は、超能力ヒーローが活躍する映画が大好きで、ある日、和人は数年ぶりに再会した弟から「スペシャル・アクターズ」という俳優事務所を紹介される。
日常で演じることを要求される仕事も請け負う、演じることなら何でも引き受ける事務所に、カルト集団から旅館を守るという仕事が舞い込む。
役者たちは、旅館乗っ取りをもくろむ集団への対策のために計画を練って、演技の練習を重ねていくが・・・。
和人は、極限まで緊張すると気を失うという体質だった。
『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督が手掛けた劇場長編2作目。
オーディションで選出した無名の役者を集めて映画を撮ったことに好感を感じる。
上田監督は無名の役者を起用して、その人の「良い部分」「個性」を引き出す能力の高い監督である。だから無名であっても、役者はイキイキと作品の中で光り輝く。
また僕たちも役者が無名であるがゆえに、その人物に関する先入観がないので、「この人はこの役のまんま」と劇中のキャラクターを全て受け入れるのである。
有名な役者が演じていると演技が達者なのはわかるが「演技をしている」ということと、「劇中のキャラクターと別人格」ということが最初から認識されているのである。
無名の役者は「本当にこの人はこんな人」なのかという、イイ意味で錯覚を与えてくれるのだ。
物語も飽きさせることのない、しっかりと練り込まれた展開である。
上田監督のテクニックや脚本力はホンモノであるが、『カメラを止めるな!』ほどの衝撃や大笑いはなかった。
最後のオチも良く出来ているが、「その理由で、あまりにも大掛かり過ぎだろ!」と誰もが思うのではないだろうか。「もっと他の方法があるだろ!」と。
上田監督の次回作も楽しみに待っていよう、というところで「カット、カット」。
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