泣ける映画らしいので、泣けない男である僕が『湯を沸かすほどの熱い愛』を観てみた。
『湯を沸かすほどの熱い愛』 美男美女が泣かせようとする映画。 夫は家族を捨てたヤツなのに、イイ人気取り。 監督:中野量太 出演:宮沢りえ 杉咲 花 篠原ゆき子 |
自主映画『チチを撮りに』で注目された中野量太監督の商業映画デビュー作。
『紙の月』以来となる宮沢りえの映画主演作。会う人すべてを包みこむ優しさと強さを持つ双葉役を演じる。
娘の安澄役を杉咲花、失踪した夫役のオダギリジョーのほか、松坂桃李、篠原ゆき子、駿河太郎らが共演。
2016年製作/125分/G/日本
配給:クロックワークス
銭湯「幸 さちの湯」を営む幸野家だが、銭湯は休業状態。
夫が1年前にふらっと出奔 し双葉はパートをしながら、持ち前の明るさと強さで娘を育てていた。
そんなある日、突然の余命宣告を受けてしまう。
それから双葉は、一年前に家出した夫を連れ帰り家業の銭湯を再開させる。 気が優しすぎる娘を独り立ちさせる。 娘をある人に会わせる。
双葉の行動は、家族からすべての秘密を取り払うことになり、彼らはぶつかり合いながらもより強い絆で結びついていく。
そして家族は、究極の愛を込めて双葉を葬(おく)ることを決意する。
泣ける映画らしいが、当然の如く僕が泣くことはない。
やはり「余命もの」というだけで、身構えてしまうのだ。
「余命もの」が好きな人たちは、迫りくる「死」と懸命に生きようとする主人公と周囲の人たちの関係に涙したいのだろうが、僕はストレートにお涙を誘われても泣けないのである。
病気関係なく明るくて健康的な人が、一瞬で亡くなってしまった方が逆に泣けるのだ。
とは言ってみても、「泣ける」「泣けない」で論じてみても仕方ない。作品としては良質なモノであったと言える。
キャスティングもそれぞれ良かったと思うが、全体的に見れば美男美女パターンかと思ってしまう。
美男美女ばかりが顔を連ねる映画は、リアリティーがなさ過ぎて好きではない。
本作での宮沢りえは一歩間違えれば、かなり「ヤバイ奴」である。
「学校に行きたくない」という娘を無理矢理に学校へ行かせようとする鬼ババぶり。
娘は何とか強い気持ちで「いじめ」に立ち向かうことが出来たが、追い詰められた娘が自殺してしまう可能性も否定出来ない。
何故か出逢って数時間の松坂桃李を抱きしめる神経も理解出来ない。
突然ビンタする危険性。・・・このシーンは理由を知れば理解出来るのではあるが。
宮沢りえの役柄を神格化することによって周囲の人たちが「湯を沸かすほどの熱い愛」で涙するが、僕は湯冷めしちゃいそうになるのだ。
事情があったにせよ、家族を置いて行方知れずになったオダギリジョーが、「何を今さら」と思えて仕方ない。
「お前は家族を捨てたんだよ!」それを忘れるな。
都合のイイ時だけ「イイ人ヅラ」するような男を信用出来ない。
良い映画ではあると思うが疑問点も残る映画であったということは間違いない、といったところで「カット、カット」。
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