ビジュアルや予告編から、2020年に製作されたとは思えない懐かしさと魅力に惹かれ『サイコ・ゴアマン』を観たのだ。
『サイコ・ゴアマン』 天真爛漫な邪悪なる少女。 残虐と笑いのクレイジー。 監督:スティーヴン・コスタンスキ 出演:ニタ=ジョゼ・ハンナ, オーウェン・マイヤー, アダム・ブルックス, アレクシス・ハンシー, マシュー・ニネバー |
残虐な宇宙人が地球を危機に陥れる様子を描いた、カナダのSFスプラッター。
カナダが誇る天才過激映像集団「アストロン6」のメンバーで、『マンボーグ』『ファーザーズ・デイ/野獣のはらわた』『ザ・ヴォイド 変異世界』のスティーブン・コスタンスキが監督・脚本を手がけた。
ニタ=ジョゼ・ハンナ、オーウェン・マイア、アダム・ブルックスなどが出演。
2020年製作/95分/PG12/カナダ
原題:Psycho Goreman
配給:アンプラグド
庭で遊んでいた8歳のミミと10歳の兄ルークは、太古から地底に埋められていた“残虐宇宙人”を蘇らせてしまう。
銀河中から恐れられる残虐宇宙人には怒りと憎しみの感情しかなく恐ろしい特殊能力を持ち、地球は絶体絶命の危機に陥るが、光る謎の宝石をミミが手にしたことで残虐宇宙人は彼女に絶対服従せざるを得なくなり“サイコ・ゴアマン”と名付けられる。
一方、宇宙では復活した残虐宇宙人を抹殺すべく銀河系の怪人たちが地球に向かっていた。
どこか懐かしさがこみ上げてくる本作を童心に帰った想いで観た。
宇宙からの怪物の登場が、ホラー的かつスプラッター表現を含んだ演出でオープニングからワクワクさせてくれる。
子供を主人公にしたことで「恐怖」と「怯えない子供」とのギャップが愉快に描かれており、子供に翻弄されていくサイコ・ゴアマンが何故か愛らしく見えてくる。
さらに本作での面白ポイントは、主人公である8歳の少女ミミがいわゆる「生きものを殺しちゃダメー!」みたいな可愛らしい純真無垢な心を持った少女ではなくて、怪物さえも振り回してしまう「人間こそが怪物だ」精神を天真爛漫にやってのけていることである。
サイコ・ゴアマンの弱点である宝石を手に、ミミはサイコ・ゴアマンを文字通り手玉に取るわけだ。
ミミは自分が中心に世界が回っているかのように実の兄をも配下に置き、両親でさえもミミの暴君ぶりを抑え込むことは出来ない。
そんな邪悪なる少女ミミが宝石を手にして、サイコ・ゴアマンを自由に操るわけだから面白いに決まっている。
ミミが想いを寄せている少年がバケモノの姿に変えられてしまったシーンや、警官がゾンビ姿になってヨチヨチ歩いているシーンは、残酷さと笑いが相まって最高のバカバカしさで楽しませてくれる。
最後の対決でクレイジーボールを真剣にプレイする展開も良かった。
ハッピーエンドを迎えたかのように思われたが、ちゃっかりとサイコ・ゴアマンが巨大化までして地球を破滅させようとしているバッドエンドっぷりも笑えた。
邪悪な少女ミミは将来的に宇宙の王女になっているかもしれない、といったところで「カット、カット」。
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