演技派なキャスティングとハズレなしの白石和彌監督の映画『ひとよ』を観た。
『ひとよ』 何とも面倒くさい家族関係。 「考えさせられる」映画である。 監督:白石和彌 出演:佐藤健 鈴木亮平 松岡茉優 |
女優で劇作家、演出家の桑原裕子が主宰する「劇団KAKUTA」が2011年に初演した舞台を佐藤健主演で映画化。
『孤狼の血』の白石和彌が監督。
鈴木亮平、松岡茉優、田中裕子が出演、佐々木蔵之介、音尾琢真、筒井真理子らが脇を固める。
2019年製作/123分/PG12/日本
配給:日活
ある雨の夜に稲村家の母・こはる(田中裕子)は3人の子供たちを守るため、夫を殺害した。
そして子供たちとの15年後の再会を誓って家を後にした。
事件以来、残された次男・雄二(佐藤健)、長男・大樹(鈴木亮平)、長女・園子(松岡茉優)は、心に傷を抱えたまま成長していく。
やがて子供たちの元に、こはるが帰ってくる。
キャスティングは演技派の人たちを集めていて、また白石和彌監督の作品ということで、映画のクオリティーは高かった。
だけど物語に関しては、正直自分にとってはあまりにも、かけ離れた家族のカタチであり個々の考え方だった。
僕は「面倒くせぇ~な、おい」と、ずっと思って観てた。
ここまでして家族や面倒くさい人間関係を維持することに、何の意味があるのだろうか?お互いにとっても何のメリットもない。家族であるから理屈では片づけられない血の繋がりがあるけれども、僕なら関わらないだろうな。
異常なまでの父親の家庭内暴力で、子供たちを守るために母親は父親を轢き殺して「殺人犯」になってしまうわけだけど、僕なら母親を感謝し続けるだろう。世間が「殺人犯」と白い目で見ようが叩かれようが、「相手を殺害するまでの苦しみ」はそこにあり、それこそ父親の暴力は人を殺しかねない。正当防衛だってことも言える。放っておけば、こっちが殺されていた。
劇中で子供たちは母親に感謝はしているけど、「殺人犯」というレッテルで生き辛かったのも事実。ま、世間は非常に面倒くさい。「殺人犯」の家族ってことで叩かれるけども、家族に罪はないから。いつまでも後ろ指をさす方がおかしいのである。
長男は離婚の話をずっと持ちかけられては拒否しているが、とっとと離婚してあげればイイ。子供を抱えているから簡単な話ではないけど、ギクシャクした関係のまま育てられていく子供も可哀そうだ。
何故皆、家族や自分を取り巻く人間関係に執着するのだろうか。
気に入らないならば、環境も住む場所も人間関係も変えていけばいい。
佐々木蔵之介さんは可愛そうだなと同情もしたけど、でも仕方ない。
子供がシャブ中になったことで「親のせいか!」と荒れているけども、親ならば「自分のせいだ」と反省して欲しい。確かに「親のせい」ではないけれど、「親の責任」っていうのはある。僕には子供はいないが、我が子がシャブ中になったら、やっぱり僕の責任だと考えるだろう。面倒くさい人間関係は切り捨てた方がイイけど、親の立場ならそうはいかない。子供をぶん殴ってでも更生させたいし、自分の責任として受け止めたい。荒れ果てる気持ちはわかるけど、自分の責任なんだ。
映画の感想というよりも「考えさせられる」映画であったので脱線してしまったが、浮かない顔して生きていくのはイヤだなぁと思ったところで、「カット、カット」。
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