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映画『ゴジラ対ヘドラ』ネタバレ・あらすじ・感想。

外なる「ゴジラ」シリーズの異色作であった。

『ゴジラ対ヘドラ』
公害が生んだ最強怪獣ヘドラ。
ゴジラの飛行は見どころ。
監督:坂野義光
出演:山内明柴本俊夫川瀬裕之
 

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予告編

 

 

解説

 
「ゴジラ」シリーズ11作目。

脚本は『怪獣総進撃』の馬淵薫と、監督昇進第一回作品の坂野義光。

真野田陽一が撮影。

1971年製作/85分/日本
原題:Godzilla vs Hedorah
配給:東宝

 

あらすじ

 
海洋学者・矢野の元へ持ち込まれたヘドロの海で採れたオタマジャクシ状の生物は、鉱物で出来ている脅威の生命体だった。

その頃、海では船舶事故が相次いで、TVカメラには奇怪な海坊主のような怪物の姿が捉えられていたが、矢野の研究によって未知の生物は合体・増殖を繰り返す事が確認され、海の怪物も同種のものと断定された。

ヘドラと名付けられた怪物は遂に港から上陸して、工場地帯でスモッグを吸収していった。

 

感想

 
「ゴジラ」シリーズの映画ということを抜きにしても、これ凄い映画だね。

オープニングから奇々怪々な歌から始まる。『かえせ!太陽を』という歌で麻里圭子さんって方が歌っているけど、歌詞がメチャクチャ。

「水銀 コバルト カドミュウム
ナマリ 硫酸 オキシダン
シアン マンガン バナジュウム
クロム カリュウム ストロンチュウム
汚れちまった海 汚れちまった空」

ちょっと、凄いね。これを大衆向けの「ゴジラ」映画でやっちゃうんだから。今だったら、どこかしらからか「STOP」がかかりそうだけど。

前作があまりにも子供向けで、少年の妄想の世界ではあるけれどミニラが日本語を喋っちゃうという作品だっただけに、そのギャップが凄い。

今度はかなりダークな「ゴジラ」の世界。

だけども少年を主人公にしていることが、何よりもの救いだ。

怪獣ヘドラは最強である。ヘドロを吐き出すことで、一瞬にして人間たちが溶かされて腐敗する。水中から陸へ、そして空まで進化を遂げるヘドラは恐ろしい怪獣なのだ。

大体において人間は何の役にも立たず怪獣にやられ放題ではあるが、本作ではヘドラに真っ向から立ち向かう人間たちの「酸素爆弾」や「巨大電極板」による兵器が大活躍する。

ゴジラがヘドロにまみれて絶望的であったが、人間たちの兵器でヘドラを追い詰めたのは優秀である。ヘドラによって多くの犠牲者も出してしまったが・・・。

また絶望的であったゴジラが理由はわからないが、勝手に復活して人間たちに援護をする。巨大電極板とゴジラの放射熱線でヘドラのヘドロは蒸発して乾燥するのだ。

そして何よりも本作の見どころは、ゴジラが飛行するシーンであろう。両足を前方へ90度に折り曲げて、放射熱線を口から吐き出しながら飛行するのだ。これには正直、驚いた。もしかしたらゴジラは戦いながら進化していっているのかもしれない。

本作は怪獣映画でありながら、かなりアートな要素を散りばめた異色作でもある。

当時の「四日市コンビナートの工場煤煙」や「田子の浦港ヘドロ公害」などの公害による時代背景、ゴダールなどのヨーロッパの映画作家たちの影響が見られる。

当時は愚作として評価されたらしいが現在では評価が高まっていて、僕も「素晴らしくインパクトのある映画だ」と思う。決して愚作ではない。名作といっても良いのではないか。

それまでの「ゴジラ」シリーズのファンからすれば、賛否も巻き起こる映画ではあると思うが、放射能から生み出されたゴジラのように公害が生んだヘドラ。重いテーマでありながら少年を主人公にしたことやゴジラの飛行など、アート要素も多いがしっかりと娯楽性も意識されていることから、かなり良く出来た映画なのだ。

「ゴジラ」シリーズは毎回、色んなシチュエーションを変えて楽しませてくれることで、次回作も楽しみである、といったところで「カット、カット」。

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