キョンキョン主演の『毎日かあさん』を観たのだ。
『毎日かあさん』 ダークな物語を明るく描く。 難役を演じ切る永瀬正敏。 監督:小林聖太郎 出演:小泉今日子 永瀬正敏 矢部光祐 |
人気漫画家・西原理恵子が自身の体験を基にした漫画を実写映画化。
『かぞくのひけつ』の小林聖太郎が監督。
実生活で元夫婦だった小泉今日子と永瀬正敏が夫婦役で共演。
2011年製作/G/日本
配給:松竹
二人の子育てと仕事で忙しい日々を持ち前のたくましさで乗り切る漫画家のサイバラ(小泉今日子)は、元戦場カメラマンの夫(永瀬正敏)が戦場でのトラウマのせいでアルコールに溺れたことによって、二人は離婚することになる。
大切な家族を失いアルコール依存症と闘う夫だったが、今度はガンが見つかってしまう。
西原理恵子さんの著書は読んだことないが、キョンキョン主演ということで観てみた。
アルコール依存症の旦那が家族の生活をかき乱していく過程は切ない。
戦場で写真を撮っていた旦那がその恐怖からアルコールに溺れていく。
本作は西原さんの持つ明るさからコメディータッチで描かれてはいるが、中々壮絶な物語でもある。
劇中でも旦那さんが幻覚を見て暴れだしたりするシーンは結構なホラーで怖かった。
シラフの時は実に楽しい旦那さんで子供たちにとっても良き父親であるが、アルコールを口に入れたら人格が豹変してしまう。
西原さんの根っからの明るさと何でも笑い飛ばしてしまう性格でなければ、かなりダークな物語ではないだろうか。
楽しい酒ならば大いに結構だが、身体を蝕んだり、家族に当たり散らしたり、暗い闇の底に落ちていくような飲み方は決して良いものではない。
最初はアルコールを飲むことで精神の安定を図ろうとしていたのだろうが、結果、精神をボロボロにしてしまった。
登場人物の明るさによって救われる作品だが、内容は結構キツイものがある。
それにしてもキョンキョンと永瀬正敏の元夫婦が本作で共演するということは、「お互いに良い関係なんだろうな」と思った。
西原さんの夫婦物語もイイが、キョンキョンと永瀬正敏の関係も興味深い。
キョンキョンが西原さんを演じる上で言葉が荒かったりするシーンもあったが、キョンキョンの持つ品の良さがキャラクターを非常にマイルドにしてくれた。
永瀬正敏はアルコール依存症からガンへと発展していく難しい役どころを見事に演じている。ガン闘病中には痩せ細り、ガサツな役柄であるにも関わらず、孤独感や哀愁を漂わせた。
何故、西原さんの旦那役にキョンキョンの元旦那をキャスティングしたのだろう?と疑問もあったが、永瀬正敏の演技を見れば全て合点がいく。
ダークになりかねない物語を明るく描く西原さんの強さは凄い、と思ったところで「カット、カット」。
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