ナイト・シャマラン監督の『ヴィジット』を観た。
『ヴィジット』 ババアの生態記録映画。 カメラ目線で「イエ~イ!!」 監督:M・ナイト・シャマラン 出演:オリビア・デヨング エド・オクセンボールド キャスリーン・ハーン |
『シックス・センス』『サイン』のM・ナイト・シャマラン監督が手掛けたスリラー。
『パラノーマル・アクティビティ』『インシディアス』といった人気ホラー作品を手がけるプロデューサーのジェイソン・ブラムと初タッグを組んだ。
『マッド・ナース』などのマーク・ビエンストックが、本作の製作陣にも名を連ねる。
2015年製作/94分/G/アメリカ
原題:The Visit
配給:東宝東和
休暇を利用して祖父母の待つペンシルバニア州メインビルへとやってきた姉弟。
優しい祖父と料理上手な祖母に迎えられて田舎町での穏やかな1週間を過ごすことになるが、三つの奇妙な約束を伝えられる。
「楽しい時間を過ごすこと」「好きなものは遠慮なく食べること」「夜9時半以降は部屋から絶対に出ないこと」。
しかし、夜9時半を過ぎると家の中には異様な気配が漂い、不気味な物音が響き渡り、恐怖を覚えた姉弟は、開けてはいけないと言われた部屋のドアを開けてしまう。
姉弟が祖父母の住む田舎町で一週間を過ごすということだが、姉と弟がそれぞれカメラを持ち歩きその様子を撮影している。その撮影風景を通したカメラ越しの映像に数々の奇妙な事象が勃発する。
「またこの手法か」と内心ガッカリする。カメラに向かって姉弟が語り、ドキュメンタリータッチで描いていく「白々しい」構成に視聴者も乗っかって、こっちもそのスタンスで観ていかなきゃいけない。あー、面倒くさい。
どうせハプニング時にはカメラをグラグラ揺らして、ギャーギャー喚くのだろう。カメラを落っことして、その映像に偶然を装ってうまい具合に衝撃シーンが映り込むのだろう。
「これから起こるであろう」お約束に少しばかりゲンナリしながらも観ることにした。
品のある祖父母が現れて、若かりし頃は美男美女であったのだろうと想像させる。
ババア、素晴らしいよ!振り幅がスゴイ!!
とても輝いているよ!最高だぜ!!
ドキュメンタリータッチで描くことには抵抗があったが、このババアがカメラ目線でどアップで迫りくる顔面を捕らえるために、カメラの存在を有意義に活かして映画の面白さを倍増させる効果をもたらせていたことに納得した。
姉と弟の持つカメラは、不可解なババアの魅力を思いっきり見せるためには有効な手段だったのである。
本作はババアのインパクトが強烈過ぎて、ジジイの影が薄い。ジジイはただの短気野郎なだけで、裸で走り回ったり、四つん這いになって動き回ったりしないのだ。
主人公が子供なので相手が老夫婦であっても強敵なのかもしれないが、僕は映画を観ながら「こいつらには勝てる」と思ってしまったので、さほどの恐怖心はない。いざとなったらボコボコにしてやる。健康な成人男性ならば不意打ちされない限り、この老夫婦と戦って負けることはないだろう。
そんなことを考えていたら案の定、子供たちだって本気出せばジジイとババアを仕留めることが出来たではないか。
それにしても警察が駆けつけてくるのが遅い。子供たちが一命をとりとめてから、のこのことサイレン鳴らして現れやがって。
早めに警察が突入してきて解決されても面白くはないので仕方ないが。
『ヴィジット』は姉と弟のドキュメンタリーではなくて、ババアの生態観察記録映画なのである。
ホラーとコメディを混ぜ合いながら家族の絆や人間の成長を描いたナイト・シャマラン監督の手腕は流石だぜ!ってなところで「カット、カット」。
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