ヒッチコックの伝記ドラマを観たのだ。
『ヒッチコック』 天才監督の苦難。 傑作サスペンス『サイコ』の裏側。 監督:サーシャ・ガヴァシ 出演:アンソニー・ホプキンス ヘレン・ミレン スカーレット・ヨハンソン |
サスペンスの帝王アルフレッド・ヒッチコックの傑作サスペンス『サイコ』の裏と、知られざる素顔に迫る伝記ドラマ。
『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』のサーシャ・ガヴァシが監督。
名優アンソニー・ホプキンスがヒッチコックに扮する。
ヘレン・ミレンが妻のアルマ役に。
スカーレット・ヨハンソンが『サイコ』のシャワー・シーンで有名な女優ジャネット・リーを演じる。
2012年製作/99分/G/アメリカ
原題:Hitchcock
配給:20世紀フォックス映画
1959年、作品の高評価とは裏腹に監督としてはアカデミー賞に嫌われ受賞経験のないアルフレッド・ヒッチコック(アンソニー・ホプキンス)。
後にサスペンス映画の金字塔と称される『サイコ』の製作に着手するが、独創的かつ奇抜であるが故に資金繰りは難航。
数々の困難に見舞われ、常に彼を支え続けてきた最大の理解者である妻アルマ(ヘレン・ミレン)との関係までほころびが生じてくる。
ヒッチコックの伝記ということで興味深く観てみた本作だが、ヒッチコックが資金繰りに困っていた時期があったとは思いもしなかった。
結果的に名作『サイコ』で起死回生となるが、現代だからその状況さえも安心して観ていられるヒッチコックの揺ぎない才能の裏に、そんな苦難があったとは想像出来ない。
本作ではヒッチコックの妻が不貞行為をしているが、恐らくかなり脚色というか、フィクションを織り交ぜていると思われる。
邦画ならば、偉人の妻ということで綺麗ごとの美談として語り継がれていくと思うが、本作を楽しませる要素として妻までもが汚れ役に描かれてしまうのは容赦ない。
それがヒッチコック映画に通ずるサスペンス要素を盛り込もうとした脚色ならば理解出来なくもないが、好き勝手にヒッチコック人生をエンタメにしただけだとしたら恐ろしい気もする。
ヒッチコックが観客を驚かせようと楽しませるために、終始作品と向き合っている姿勢が強く胸を打つ。
『サイコ』上映中に観客の悲鳴がロビーまで響き渡り、その様子を聴き思惑通りの反応に小躍りするヒッチコックが感動的である。
天才的でその名声を浴び続け順風満帆な人生を送ってきたと勝手に思い込んでいたヒッチコックの知られざる素顔を垣間見れた気がした作品であった、といったところで「カット、カット」。
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