宮藤官九郎が脚本と監督を務めた『少年メリケンサック』を観たのだ。
『少年メリケンサック』 うすら寒いバカ騒ぎ。 観るに堪えない下品さ。 監督:宮藤官九郎 出演:宮﨑あおい ユースケ・サンタマリア 佐藤浩市 |
人気脚本家・宮藤官九郎の監督2作目となるハイテンションなコメディー。
初のコメディー映画での主演を宮崎あおいが務める。
中年パンクバンドメンバーに、佐藤浩市、木村祐一、田口トモロヲ、三宅弘城が扮する。
ユースケ・サンタマリアら豪華キャスト陣の共演が楽しめる。
2008年製作/125分/日本
配給:東映
レコード会社で新人発掘を担当する栗田かんな(宮崎あおい)は、ネット上の動画サイトでイケメン4人組のパンクバンド“少年メリケンサック”のライブ映像を発見する。
しかしメンバーは50歳過ぎのオヤジで、彼女が見つけた映像は25年前に撮影されたもので、予想外の事態に困惑するかんなだったが、バンドの全国ライブツアーに同行するはめになる。
先日、伝説の朝ドラ『あまちゃん』を観て、クドカンという愛称で親しまれてる脚本家の宮藤官九郎の作品を他にも漁ってみたくなった。
昔観たクドカン脚本のドラマで面白かったと記憶しているのは、長瀬智也と岡田准一が主演の『タイガー&ドラゴン』という落語家の物語だ。
今までその他のクドカン作品に触れる機会が少なかったこともあり、今回はクドカン自身が脚本はもちろん監督も務めた『少年メリケンサック』を観ることにした。
冒頭すぐに「あれ?これは全然面白くない」と判断した。
「少年メリケンサック」というパンクバンドの映像が流れて「すごいバンドを見つけた!」とハシャいでいるが、全然イイバンドに思えないからシラけてしまう。
コメディーも全然ついていけなくて、つまらない連中がバカ騒ぎして空回りしているだけ。
演劇的なノリを映像で表現しようとすると、視聴者との距離感に大きな温度差が生じてしまうのだ。
学園祭ノリは学園祭の場にいるから楽しいのであって映像の世界に持ち込んで騒いでみても、楽しいのは作っている自分たちだけである。
さらに大きな間違いを生んだのは「少年メリケンサック」というパンクバンドのメンバーだけが「バカで狂っている」設定ならともかく、メリケンサック以外の登場人物全てもバカばかりなので「少年メリケンサック」自体が活きないではないか。
マトモな人たちの中にバカがいるから際立つのであり、バカの中にバカがいたところで何の面白味もない。
一番拒絶反応を示したのは、下品な表現が多かったことだ。
ツバを吐いたりゲロを吐いたり、おまけに宮崎あおいを牛の糞まみれにさせたり、全国ツアーを回る車内ではつまらないオナラネタを連発させたり、「彼氏はチンコがデカいのか?」と誰も笑えないジョークを何度も口にしたり、観るに堪えない下品で面白くないことを「面白い」と思って作っていることが信じられない。
宮崎あおいが全国ツアーの途中で勝手に逃走して、彼氏のライブの最中にバンドメンバーのことを思い出し皆の元へと勝手に戻っていた意味不明な心境もわからなかった。
「何か事件が勃発して皆の元を離れ、離れたその場所で心を動かすキッカケになるモノ」があることで皆の元に戻ったという描写がないのだ。
勝手なる主人公のメンハラに付き合わされているだけである。
クドカン脚本の朝ドラ『あまちゃん』は大好きだが、『少年メリケンサック』は自分的には全然ダメだった、といったところで「カット、カット」。
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