榊いずみのニューアルバム、『SOUNDTRACKS』を予約購入してから、毎日聴いている。
歌は、繰り返し繰り返し聴くことで、自分の心にどんどん浸透していってそして、その度に新しい発見があったり、新しい感じ方があったりする。
だから僕は好きなアーティストのCDは、しつこいほど聴きまくって、自分の心に、血液へと流れていくほど聴く。
『SOUNDTRACKS』の魅力
榊いずみの詩は、とても感受性が強く、僕たちが心のどこかでこらえていたモノを時には強く、時には優しく、歌にするから、目頭が熱くなり鼻の頭でぐっと涙をこらえてしまう。
榊いずみの詩は、僕の心の琴線にびんびん触れて泣きたくて、それでもまた生きていこうという気持ちにさせてくれる。
今回の『SOUNDTRACKS』は、榊いずみの夫である映画監督榊英雄さんのサウンドトラックを担当するようになったことで、誕生したアルバムだ。
榊いずみの詩はもちろんのこと、そのメロディーもまた感受性の豊かさに溢れていて、僕の心の琴線に触れるのだ。
そして、何と言っても僕は榊いずみの歌声が好きだ。
声がたまらなくイイのだ。
1.荒野の果てに
一曲目から、優しい歌声に癒やされるほどに包んでくれる。
彼女の母性のような、そんな歌声とメロディーに心が穏やかになる。
それでいて、また前へと歩き出そうという静かな覚悟が湧き上がってくる。
すごい好きな曲。
2.『Lost and Found』
映画『アリーキャット』の主題歌。
この曲もすごくイイ。
詩と曲と歌声の雰囲気が、カッコイイ。
歌い出しもイイし、サビの部分がすごく好き。
カッコイイんだけど、何だか悲しげで、とにかくイイ。
3.『キッチン』
『まかない荘』のドラマ観てた。
心が温かくなるイイ、ドラマだった。
主題歌もピッタリだった。
「いそいで帰っておいでうまいもの作ってるよ」なんて言われたら、飛んで帰るよね。
榊いずみ自身が母親になったことで、本当に母性が溢れる歌を作るようになった。
アーティストとして、人間としても、女性としても、表現の幅が広がって、それはすごく大きなプラスになっている。
4.『かなしみさん』
曲のリズムと優しい歌声がステキ。
疾走感がありながらも、心地いいゆったり感がある。
慌ただしい毎日の中でふと電信柱の影、かなしみさんを探してしまいそうな気持ち。
5.『わたしの証明』
榊いずみのラブソングは好きだ。
女性アーティストのラブソングは好きじゃないのに、榊いずみのラブソングは好きだ。
それは、ふわふわしてないからかな。
大概の女性アーティストのラブソングは口先だけで、全然響かないんだけど、榊いずみのラブソングは全力投球だから、こっちも真剣になる。
「あなたを思うことがわたしの証明なの」
この言葉は口先だけでは言えないし、言われた方も真剣な覚悟がいる。
全力投球で真っ直ぐな榊いずみのラブソングが好きだ。
6.『ごめんねルーシー』
言葉遊びというか、何か、榊いずみの独特の詩の上手さがある。
「どっかにsomething 探してるけどnothing
引き出しをsearching ベッドの下をpeeping
とりあえずpraying どこでも常にwondering
いつだってwishing 確かなものはstudying」
ホント上手い。
この曲はゆっくりめで歌っているけど、早口でまくしたてて歌う時なんてすさまじくスゴい。
7.『Merry Go Round』
また今までの曲と雰囲気を変えて、それでいてメロディーと歌声の持つ雰囲気がすごくイイ。
「愛なんて愛なんてどっかにやっちゃいなよ」と歌いながらも、その後に、切なくて苦しい愛を歌う。
メロデイーがたまらない。
8.『夜のパレード』
そしてまた、曲調が変化する。
優しくて明るくて可愛くて、そんなリズムと歌声の空気感が心地良くて、なんか笑みがこぼれそうになる。
9.『Pussy Cat』
全部英語の曲で、またまた雰囲気をガラリと変えてくる。
表現方法をいくつも持っていて、でもその表現方法の一つは、ピッタリとそこにハマる。
聴き手に意外性を与えながらも、その間違いのない意外性はその詩と曲と歌声が見事にハマり、この表現方法が一番イイと思わせてくれる。英語で来たかぁと思うけど、英語で正解だと思わせる。
とても心地イイ、メロディー。
10.『マーティ・マクフライ』
これは、もう文句なしに楽しい曲。
映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のマーティ・マクフライが曲名だから、映画にちなんだ詩が散りばめられている。
「疑って拒絶してデスパレートするよりも誰だって同じだと認めていけばいい」
この詩、好き。
楽しいよ、この曲。
11.『さよなら、僕の日々』
詩と曲と歌声が、またすごく、ぐっとくる。
別れの切なさがあるけど、また何かに向かって歩いているような。
「地図を持たずにドアを開けたよ
探さないでね 忘れないでね」
いい詩だ。
探さないでと言って、忘れないでと言う。
何だかわかる気がする。
12.『日々の抜け殻』
「誰かに手を握りしめられたなら
かたまりが溶けて涙になりそうなんだ」
これを聴いただけで、自分のかたまりが溶けて涙になりそうになる。
誰しもが、どこかで踏ん張っていて、弱りながらも、強がっている。
そんな時にふいに優しくされたなら、涙がこぼれそうになる。
それは榊いずみの『サルの歌』で、
「孤独が好き ひとりが好き それは強がり」
を思い出した。優しいバラードにぐっと来る。
榊いずみの魅力
僕が中学生か高校生の頃だったろうか、榊いずみ(その頃は、橘いずみ)の『失格』をラジオで聴いてファンになったのは。
思い入れのある名曲は沢山ある。本もビデオも持っている。
詩と曲が素晴らしいのはもちろんのこと、やっぱり歌声がすごくイイ。
榊いずみが家庭を持ち、子供を授かったことにより、母性を感じる歌が多くなった。
優しさに深みが増して、癒やしたり包むようなあたたかさが作品に出ている。結婚する前の橘いずみとして活動していた時は、爪で引っ掻くような激しさがあった。
純粋であるがゆえに、真っ直ぐに強がり、真っ直ぐに傷つき、真っ直ぐに愛を欲し、壊れてしまうのではないかというハラハラしたものもあった。
彼女の魅力はそこにあるのだが、本当の彼女の魅力は、チャーミングであることだ。
人として、大いに人を惹き付けるチャーミングさがある。
笑顔も最大の魅力だ。
僕は、榊いずみは女優としてもすごく光る逸材だと思う。
あー、勿体ないと思う。榊英雄監督は、恥ずかしがらずに榊いずみ主演で映画を撮るべきだ。
彼女ならではの、名作が生まれるはずだ。
・榊いずみ『SOUNDTRACKS』
https://sakakiizumi.stores.jp/items/58fb28c3748e5bfc3600c073
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