蜷川実花監督の『Diner ダイナー』を観てきましたがな。観たい観たいと思いつつ、なかなか時間の都合が取れなかったのですが、やっと観てまいりました。
結論から言うと、最高にカッコ良く面白かった。
蜷川実花さんは、写真家としても僕は好きな方で、本を買ったり写真展を見に行った事もあった。
蜷川実花さんの写真作品は色彩鮮やかで、その世界観は美しくカッコ良い。その写真家としての才能は映像でも発揮されていて、映画監督としても見事なまでの蜷川実花ワールドを炸裂している。
『Diner ダイナー』は、殺し屋専用のダイナーという、無茶苦茶な設定。皿の置き方ひとつで消される事もある。
小説を映画化したものではあるが(漫画化にもなっている)、原作は未読。なので元の原作がどんなカタチであったのか知らないが、蜷川実花監督のアート性が色濃く出ている映画であるのは一目瞭然。
殺し屋といえば、何となく「黒」をイメージしてしまいがちだが、蜷川実花監督はとにかくカラフルな世界観で表現している。
アートに追求された映像美と、徹底的にエンタメにこだわった表現が、相乗効果で映画を盛り上げてくれる。
殺し屋たちはとにかく店内で暴れる。
色とりどりの花々や鮮やかなライトで照らされた店内は、火花が飛び散り、花びらが舞い散る。
これでもか!と言わんばかりに、色鮮やかな花びらが画面を埋め尽くす。
蜷川実花監督の手にかかれば、アクションも華麗で美しく、グロテスクになりそうな表現を、息を呑む程のアートに仕上げる。
血しぶきがあがるのではなく、花びらが舞い上がるのだ。
劇中、藤原竜也は「俺はぁ~ここのぉ~王だ!!砂糖の一粒までが俺に従う!」と叫んだが、映画『Diner ダイナー』は、蜷川実花監督が「私はぁ~ここのぉ~王だ!花びら一枚までが私に従う!」と叫んでいるように聴こえた。
映像美や蜷川実花監督の演出が素晴らしいのはもちろんの事ではあるが、物語も簡潔で面白い。非常に良く組み立てている。
そして何といっても役者陣のキャラクターが個性的でどいつもこいつも魅力的である。
キャラクターが魅力的かつ、役者陣の演技の巧さが際立つ。監督の腕が良いと、役者の存在はさらに魅力的になる。写真家として、被写体をどう魅力的な作品にするのかを徹底してきた蜷川実花監督だからこそ、映画でもその腕は発揮されていた。
最高級な役者の素材を、蜷川実花監督が最高級な演出で調理して、それを食すのが観客であるとしたのなら、この映画こそがまさに蜷川実花監督にとっての『Diner ダイナー』なのだ!
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