その透明感溢れる優美な色彩と、最小限に抑えた佇まいを最大限に活かした描写は、心をぎゅっと鷲掴みにされる。
『完売画家』として認知されている中島健太さんの画集は、静かな呼吸が聴こえてくるような世界観に包まれている。
優しく美しい色彩で描かれた女性は、最小限な佇まいで最大限に魅力を発揮された構図で描写されている。確かにそこに存在している生きた眼差しが、作品から目を離すことが出来ない。
透き通るような肌、艶やかな唇、静かな木漏れ日と柔らかいシーツとクッション、みずみずしく咲いた花々、木のぬくもり、そよ風、その丁寧で繊細な表現ひとつひとつが作品に命を吹き込まれていて魅了されるのである。
僕が中島健太さんを知るキッカケとなったのは、テレビ番組で紹介されたベッキーさんを描いた絵だ。ベッキーさんが寝そべっている姿のその絵は、あまりにも優しく美しく心の中で「すげぇ!!」と驚愕した。
「アートをもっと身近に感じて欲しい」という中島健太さんの思想は、僕も常々思っている事だ。わからないならわからないでいいし、好きなものは好きと言えればいい。難しいと思わずに、素直な視点で素直に感じればいい。
アートを身近に感じれば、僕たちの日常にほんの少し彩りを添える事が出来る。リビングに飾られた綺麗な花々のように。
中島健太さんは大学3年生でプロデビューをして、卒業直後の個展で完売を記録。現在に至るまで500点以上の作品が完売し全国で毎年個展を開催されている。
テレビ番組で「売れる絵がわかってきた」という発言は、なかなか気持ち良かった。
それは画家でありながら、プロデューサー的な視点が中島健太さんにはあるからだろう。自分の絵を知ってもらう、自分の絵を買ってもらうために、自己プロデュースが出来る能力のある頭の良い方である。
『中島健太 画集』
著者について ○特別展 中島健太油彩展(2015年) |
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