早い。もう今年に入って15日も経ってしまった。こんなに早いなんて、もう年末になった気分だ。
さてさて、それでは映画のレビューを。
『空母いぶき』 炎上騒動よりも大罪。 超絶にツマラナイ。 監督:若松節朗 出演:西島秀俊佐々木蔵之介本田翼 |
『空母いぶき』といえば公開前から大きな話題になった映画なのであるが、本作の総理大臣役を務める佐藤浩市さんの発言を巡って大炎上した。
体制側の立場を演じることに対する抵抗感があり、総理大臣役を最初はやりたくないと思っていたが、監督やプロデューサーと話し合い佐藤浩市さんなりにアレンジをした。そして、総理は漢方ドリンクの入った水筒を持ち歩き、ストレスに弱くてすぐにお腹を下す設定にしてもらったのだ。
佐藤浩市さんは「反体制」の立場だと明確に述べて、その上で総理役を下痢に悩む設定に変えさせたとしたことが大炎上。
作家の百田尚樹さんは「三流役者が、えらそうに!!」と佐藤浩市さんを批判して、その他の著名人たちも賛否を交えた騒動になったのだ。
しかし、この映画は大炎上騒動よりも大罪である。観ていて凍えそうなほどに超絶にツマラナイ、大炎上ならぬ氷点下なのである。
佐藤浩市さんは一流の役者さんだとは思うが、この映画は何度も寝落ちしてしまうぐらいに酷かった。
百田尚樹さんは「こんな映画観に行かない!」と怒っていたが、もしも映画を観ていたらもっと怒り狂っていたであろう。
先ず佐藤浩市さんの自分なりの総理役をアレンジは、ない方が良かった。佐藤浩市さんはカッコ良すぎて、お腹を下す設定は邪魔でしかない。
また西島秀俊さんは終始ニヤニヤしていて、それでいてすぐにカッコつけるので意味不明であった。
意味不明といえばコンビニ店長役の中井貴一さんは、お客さんを大事にしている素敵な役どころだが、「だったらテメェ、無精ひげ剃れよ」と接客業をなめた風貌にツッコミを入れたくなる。
それからアットホームなコンビニシーンが無駄だった。「日本が戦争になるかもしれない」という緊迫した状況と、庶民の平和という対比を見せたかったのだろうが、見事に裏目に出てしまいコンビニシーンが映画を間抜けなものにした。
大体、中井貴一さんはコンビニ店員でなく総理大臣じゃなかったっけ?と、僕の脳裏を他の映画がよぎる。
しかも、こっちにも佐藤浩市さん出てんのかい!!
『空母いぶき』に関しては、コメディーシーンは排除した方が絶対に良かった。すごく重たいテーマに、何故か笑えないコメディーをぶち込んでいたのが謎である。
また関西弁で吠えていた役者さんがいたが、こちらも標準語にするべきであった。何故だかコメディー要素を盛り込もうとする意味不明な映画なのだ。
映画の見せ場である戦闘機での戦闘は、戦闘機による飛行のCGと、役者さんの両目だけの超どアップシーンで誤魔化しているのがバレバレである。バストショットを撮ると、戦闘機内部や背景の臨場感を出さなければいけないが、とにかく戦闘機に乗っているていで、ずっと役者さんの両目どアップで誤魔化していた。全然、臨場感も緊迫感もなく、観ている方は白けていくのであった。
本田翼さんが平和について一人語りしている中で映し出されていく世界の人々の情景も、チープで鼻で笑わずを得ない。
とにかく何度も寝落ちしてしまっては、その度に続きから視聴するという超絶にツマラナイ映画であった。
『ストレイト・ストーリー』 リンチ監督の異色作であり名作。 大した事件は起こらないが、それがイイ。 監督:デヴィッド・リンチ 出演:リチャード・ファーンズワース, シシー・スペイセク, ハリー・ディーン・スタントン, ジェームズ・カダー, ウィリー・ハーカー |
映画公開当時に劇場に観に行った作品なのだが、内容もかなり忘れてしまっていたので「もう一度観たいなぁ」と常々思っていたので、ようやく再度DVDで観ることに。
爺さんが遠く離れた兄にトラクターに乗って会いに行くという物語だけは覚えていたのだが、細かな内容は忘れていた。
本編を全て観終わった後に、「こりゃ忘れちゃうわ~」と思った。
映画自体は凄く良い映画なのは確かなんだけど、特別に大事件が起きるわけではない。ドキドキハラハラする展開が待っているわけもない。
ただただ爺さんがトラクターに乗って、脳卒中で倒れた兄に会いに行く物語である。
この、ただただ爺さんがトラクターに乗っている姿が素晴らしくイイのだ。広大な風景と人情溢れる人々との出逢い、ハプニングといえばトラクターがぶっ壊れる程度であろう。それが素晴らしいのだ。
リンチ監督の異色作である。『イレイザーヘッド』や『エレファント・マン』『ワイルド・アット・ハート』等の作品こそが異色作なはずであるが、大した出来事が起こらない爺さんの旅をリンチ監督が撮ったというのは、本当の異色作である。
時速8キロのトラクターで約560キロ離れた兄に会いに行く設定は、実話らしいが・・・、それだけで何とも切なくて愛らしい。
ラストシーンも憎らしいほどに良かった。
邦画の感動シーンはクドクドとしつこくて逆に感動しなくなるが、リンチ監督は感動シーンを非常にあっさりと仕上げた。兄弟は、ほんの少しの言葉を交わして、何とも言えない想いが溢れんばかりの表情を浮かべる。それから空を見上げるのだ。最高じゃないか!!
やっぱり好きな作品である。
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