シリーズ8作目でミニラが初登場!
『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』 傑作!! ミニラがカワイ過ぎる!! 監督:福田純 出演:高島忠夫 前田美波里 久保明 Amazon |
前作『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』に続いて福田純が監督したシリーズ8作目。
『ゼロ・ファイター 大空戦』の斯波一絵が共同で脚本を執筆。
特技監督には新『ウルトラマン(1967)』の関沢新一。
ミニラが初登場した記念すべき作品である。
1967年製作/85分/日本
原題:Son of Godzilla
配給:東宝
南洋のゾルゲル島で気象コントロールの実験が行なわれたが、実験は謎の妨害電波によって失敗した。
その影響により、島は異常高温に見舞われて、怪獣カマキラスが大量発生する。
そして地中から発見された卵からは、ゴジラの息子であるミニラが誕生。
ミニラを襲うカマキラスたちの前に、ゴジラが姿を現した・・・。
ミニラの登場で「ゴジラシリーズ」が、「恐怖のゴジラ」から「コミカルなゴジラ」に明らかに変わった。
シリーズ6作目の『怪獣大戦争』では、ゴジラの勝利の「シェー!」もあったが、ミニラ登場からのコミカルさは明確である。
僕は個人的に、この『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』は、傑作だと思った。
先ず、冒頭からのゴジラ出現シーン。登場シーンは少ないものの、冒頭から海に現れるゴジラのシーンを導入したのは、こちらの気持ちも前のめりになるものだ。
南洋のゾルゲル島で物語は繰り広げられるわけだが、カマキリの怪獣、カマキラスの可愛げのないビジュアルが怖い。
虫が苦手な僕にとっては、巨大化されたカマキリなど恐怖でしかない。
両手が「鎌」で、しかも「飛ぶ」ことが出来るなんて、恐ろしいったらない。
ゴジラは、そんな気持ち悪いカマキラスのカラダ全体を持ち上げて大地に叩きつけるのだから、尊敬する。
本作では、ミニラの初登場でもあるが、ミニラの卵をカマキラスが鎌でつつき、生まれてきたミニラを三体ものカマキラスでつつき始めるという怪獣いじめが繰り広げらる。「怪獣の世界でもいじめがあるんだなぁ」と感慨深い気持ちにさせられる、、、ことはない。
とにかくミニラが可愛い。めちゃくちゃ可愛いのである。ゴジラの尻尾で後頭部を直撃するミニラ。岩を踏んづけて足を滑らせて転ぶミニラ。駄々をこねるミニラ。本作ではミニラの可愛さが満載である。
ミニラの登場により、コミカルさは加速する。
僕が本作を傑作であると評するには、ミニラの可愛さやコミカル要素の多さに加えて、怪獣同士の対決シーンが多いことだ。カマキラスとの対決だけで終わらせることなく、今度はクモの怪獣、クモンガを登場させてきた。
クモンガは口から糸を吐き出す。これはモスラの戦い方と似ている。
モスラは糸で対戦相手をぐるぐるに巻き付けて動きを封じるが、クモンガは放射状に糸を吐くので、いわゆるクモの巣を張って「相手を糸に絡みつける」のだ。
怪獣との対決シーンが多いことも本作の魅力のひとつであるが、僕はラストに「これは傑作だ!」と確信したのである。
異常高温になってしまったゾルゲル島を、博士たちの実験によって「凍結」させようとするのだが、見事に実験は成功して、島から脱出した博士たちは「雪が降っている!」と声を上げる。
そう、ゾルゲル島に雪が降るのだ。何と素晴らしい発想だろうか。先ほどまでは異常高温になっていた島が雪に覆われていくのだ。そして、ゴジラとミニラにも雪は容赦なく降り注ぐ。足元を取られて前のめりに転んで立ち上がれないミニラ。そんなミニラをよそに歩き続けるゴジラであったが、やがてゴジラは振り返りミニラのそばに近づいて抱きしめるのだ。「くぅ~!素晴らしい!!」
ゴジラたちは死するわけではない。いわゆる「冬眠」に入るのだ。雪が融けて暖かくなれば、またゴジラもミニラも目覚めるであろう。
冒頭からのゴジラ出現というサービス。またその後、途中、海辺から出現するゴジラも迫力があって格好良かった。ミニラの可愛さとコミカルさ。怪獣たちとの対決シーンの多さ。ラストのゾルゲル島での雪のシーン。こんな盛りだくさんの『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』は、非常に楽しめたのである。
さぞ、「ゴジラシリーズの中でも皆の評価が高い作品なんだろうな」と思って調べてみたら、そんなわけでもなかった。しかし僕は「傑作だ!」と唱えるのである、といったところで「カット、カット」。
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