北里洋平の『ワルあがき』を読んだのだ。
『ワルあがき』
北里洋平 (著) |
人気コミック『軍鶏』の作者である「たなか亜希夫」さんのカッコイイ絵が目を引くが、本書は漫画ではなく北里洋平さんの自伝である。
北里洋平さんは自伝中心の出版社NORTH VILLAGE(ノースヴィレッジ)の代表で、現在に至るまでに数々の大ヒットを生んできた。
GACKT、窪塚洋介、高橋歩、三代目魚武濱田成夫、ロバート・ハリス、家入一真など、北里洋平自身が惚れ込んだ人間を口説き自伝を出版している。
今回は出版社の代表である北里洋平さんが、自身の出版社から自伝を出版された。
本書には「諦めることを、諦めた」、男の数々の挑戦の日々が詰まっている。
やりたいことを諦めようとした時には必ず、北里洋平さんの幻想か妄想か分身か「キング」と名乗る男が洋平さんの前に現れ、彼の挑戦を切り開くヒントを暴力的に与えてくれるのだ。
「我がまま」を貫く男の物語。
小学生の頃には演劇で主人公の座を射止めることから始まり、引っ越した先のチリ共和国でのチカラワザ、南米最強のサッカーチームCOLO-COLOの選手に試合を申し込んだり、ハチャメチャな挑戦を「ワルあがき」で攻略して叶えていく。
漫画の世界かと思えるほどの突破力に、本書を読みながら熱い血潮が燃えたぎる。
何故、自分は多くのことを諦めてきたのであろうか?
そんな虚しさと共に、我がままを貫き通さず「ワルあがき」をしてこなかった人生に、もう一度自分を見つめなおす機会が与えられた気がする。
僕の中の「キング」は何て言うのだろうか。僕の頭を引っ叩き「気付くのが遅かったな」と目も合わしてくれないだろう。「いや、お前は気付いていた。気付いていたが何もしなかったのだ」と、冷たく言葉を投げ捨てる。
「過去は過去、戻ることは出来ない。これからお前がどうするかだ」
キングは僕にそう言い放って、消えた。
次に会える時は目を合わしてもらえるような自分にならなければ。
本書を読んで、何も感じないヤツはいないはず。諦め続けた人生を歩んできた者にとって、深く鋭くえぐるように心に突き刺さる。
北里洋平さんは大企業に入社して活躍もしていたが、自分で出版社を立ち上げて、自分の自由な冒険を続けている。出版社に限らず多くの事業を手掛けて、自分のやりたいことに我がままを貫いているのだ。
「キング」は本書を面白くするための架空の登場人物だと思うが、心が挫けてしまいそうな時、北里洋平さんは内なる声(キング)に耳を傾けて自分を奮い立たせ鼓舞させていたのではないだろうか。
僕も我がままを貫き、諦めることを諦めて人生をワルあがきしていきたい。
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