サンタが殺人鬼の『悪魔のサンタクロース 惨殺の斧』を観たのだ。
『悪魔のサンタクロース 惨殺の斧』 悲しき殺人鬼。 それでも子供は襲わない。 監督:チャールズ・E・セリアー・Jr 出演:リリアン・ショーヴァン, リネア・クイグリー, ロバート・ブライアン・ウィルソン, ギルマー・マコーミック, トニー・ネロ |
子供たちの憧れであるサンタクロースが殺人鬼になり、人々を虐殺する。
ポスターやテレビCMなどの宣伝にてサンタクロースの格好をした殺人鬼であることを強調したため、アメリカの親たちや宗教団体からの抗議を受けて大きな物議を招いた。
アンモラルな内容に全米のPTAが大激怒して、上映中止運動が巻き起こり、アメリカ、イギリスで公開中止となった問題作である。
1984年製作/79分/アメリカ
原題:Silent Night, Deadly Night
幼い頃にサンタクロースの扮装をした強盗に両親を殺害され、それ以来クリスマス恐怖症になったビリー。
そんな彼が18歳になった時、勤め先の玩具屋でサンタクロースの格好をさせられることになるが。
公開当時はサンタクロースが殺人鬼だという設定に大きな物議を醸し出した作品であったみたいだが、2021年の現代に観ると、それ程大したこともない描写だとは思ったが、それぞれの国での受け止め方の違いなのだろうか。
いや多分サンタが殺人鬼であること自体が問題で、内容を観ないで批判しているのだろう(内容観たら、もっと怒ると思うが)。
サンタの格好をしているだけで、ホラー映画としては単純なものである。
一年間イイ子にしていなかった子供たちに「罰を与える」とは言っているが、実際、直接的に子供を襲うシーンは一切ない。
殺害されるのは大人たちである。
子供が襲われる過激な描写があったのなら不快感や嫌悪感はハンパないが、制作陣もその一線は超えないように配慮していたに違いない。
この手のホラー映画では必ず女性の裸が出てくるが、何故か女性はいつもノーブラで簡単に破れる薄い衣類を身に纏い、襲われた際に容易く引きちぎられてしまう。
冬場の設定なのだから、もっと厚着していても構わないのに、わざわざ裸にさせるためのシーンを描くのは、当時のB級ホラー映画に見られる謎である。
子供の頃に両親をサンタクロースに殺害されてトラウマを抱えていたが、18歳になったその青年が自ら殺人サンタに変貌していく過程は、被害者であった青年の心と精神のバランスが崩れた「悲しき殺人鬼」であった。
批判があったにも関わらず、その後もシリーズものとして制作されリメイクまでされた作品になったことに、モノ作りの執念が伺える。
クリスマスの時期には各家庭で「メリークリスマス!」と言いながら観て欲しい一本である、といったところで「カット、カット」。
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