『悪魔のいけにえ』の監督、トビー・フーパーが手掛ける『マングラー』を観たのだ。
『マングラー』 劣悪過ぎる労働環境。 刑事一人で捜査するには荷が重い。 監督:トビー・フーパー 出演:ロバート・イングランド, テッド・レヴィン |
ホラー小説界の巨匠スティーヴン・キングの短編小説「人間圧搾機」を、『悪魔のいけにえ』のホラー映画界の巨匠トビー・フーパーが映画化。
『エルム街の悪夢』フレディ・クルーガー役のロバート・イングランドが、ブルーリボン洗濯工場の上の階に住み労働者を食い物にする強欲なガートレー社長を演じる。
1995年製作/106分/G/アメリカ
原題:The Mangler
ブルー・リボン洗濯工場で働く少女の血により悪魔が宿った洗濯用プレス機マングラ―は、人間の血を覚えて次々と人間を襲っていく。
刑事ジョン・ハントンはマングラ―の暴走を止めるために立ち上がり、ブルー・リボン洗濯工場に乗り込む。
驚くほどに劣悪な労働環境。従業員はそこそこ楽しそうに勤務していると見受けられるが、洗濯用プレス機マングラーの危険度が高過ぎる。
安全性について全く対策がなされておらず、マングラーが悪魔化されていなくてもフツーに危険な機械である。
少女が手をプレスされそうになり大怪我をしても、社長は従業員を心配する素振りも見せずに「ちゃんと働け」とほざいている。
プレス機に手を突っ込み、こぼした錠剤を拾おうとしたババアは自業自得ではあるが、動いている機械に手を突っ込んだら危険なことは子供でも教育されること。カラダ全てが巻き込まれてプレスされてしまうような機械を取り扱っているのだから、なおさらである。
こんな大惨事を生んだ工場を停止させることなく通常運転で稼働させていれば、そりゃ次の事故にも繋がるだろうと予測出来る。
刑事一人で調査するには無理があり、警察組織がしっかりと動いて工場の安全性を調査するべきだ。
正論を並べても仕方ないが、あまりにもおかしな設定だらけで映画の内容に集中出来ない。
大体、あんな醜悪な顔をした社長の下で働きたくない。
内容はともかくとして、ブルーリボン工場の外観や内観の怪しさ等、映像には目を見張るものが多々あった。
ジジイ社長が案の定プレスされたシーンも楽しく、マングラーを巡ってバトルを繰り広げる展開もGOODである。
悪魔封じに成功したかと思われたが、マングラーが暴走して自分のカラダを解体しながら襲ってくるクライマックスも秀逸で、最後の最後まで息つく間もなく恐怖を体感させてくれるサービスの良さに嬉しくなる。
一件落着とはならず、ブルーリボンは通常運転で何故かマングラーも平然と稼働。怯えていた少女の人格は変貌して、ジジイ社長のように立ち振る舞う姿に絶望と落胆を見せる刑事。花束をそっとゴミに捨て、無言で去っていくラストもまた良い。
内容は無茶苦茶だが色々と魅力的な作品であった、といったところで「カット、カット」。
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