ドキュメンタリー映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』を観たのだ。
『なぜ君は総理大臣になれないのか』 17年間の苦悩と葛藤。 立ち向かう一人の政治家。 監督:大島新 出演:小川淳也 |
衆議院議員・小川淳也を17年に渡り追いかけたドキュメンタリー。
『シアトリカル 唐十郎と劇団唐組の記録』『園子温という生きもの』等、数多くのドキュメンタリーを手掛けてきた大島新が監督。
2020年製作/119分/G/日本
配給:ネツゲン
2003年10月、当時32歳の小川淳也は衆議院議員選挙に民主党(当時)から初出馬するが、落選。
2005年に衆議院選挙において、比例復活で初当選を果たす。
2009年に政権交代が起こると「日本の政治は変わる」と目を輝かせたが、発言権が弱く権力への欲望が足りず、家族からも「政治家に向いていないのでは」と言われてしまう。
小川淳也は苦悩を抱えながら、2017年の衆議院議員総選挙に挑んでいく。
現在、立憲民主党の議員である小川淳也さんを追ったドキュメンタリーで、32歳の初出馬から17年間もの一人の政治家の記録が収められている。
衝撃的なタイトルでもあるように、彼を観ていると「政治家として不向きではないか」というぐらい愚直で不器用な姿が映し出される。
彼の政治家活動の一部を切り取った映画に過ぎないが、その一部を観ただけでも「選挙活動って大変なんだなぁ」と単純に思った。
妻や娘、両親を巻き込んで(協力してもらって)、懸命に選挙活動をする姿は壮絶だ。
政治家になれば「料亭へ行ってみたい」ではないが、庶民には味わえない甘い汁が沢山吸えるのだろうと解釈していたが、国民に頭を下げて、時には罵倒されながら、汗をかいて必死で選挙活動をする大変さはまっぴら御免である。
当選すれば甘い汁を吸いながら能天気に過ごせるなんてことは、やはり「本気で国を良くしたい」と志を持つ不器用な人間にとってはなく、甘い汁どころか苦い汁を噛みしめて毎日を真剣勝負で取り組まざるを得ないのだ。
家賃4万7000円のアパートで慎ましやかな生活を送りながら、七転八倒しながら奮起する姿は甘いものではない。
ドキュメンタリー映画は約2時間だが、実際には17年間もの歳月の中で戦っているのである。
出世や栄華、権力を握りたいという欲望のある者が、政治家には向いているのであろう。
本作を観ていると、若者が政治に無関心なこともあってか、どうしても高齢者の方々が多いのが目につく。もちろん絶対的な分母の数が高齢者の方が大きく若者が少ないこともあるが、それでも政治に期待する若者は見受けられなかった。
高齢者に寄り添う政治も必要だが、多くの若者たちから指示される小川淳也であって欲しい。香川一区で強固な地盤を持つ自民党の平井卓也と戦うには、若者たちの新しい風も必要である。
一人の男が立ち向かい、葛藤して、それでもなお突き進む姿は見応えがあった、といったところで「カット、カット」。
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