談志師匠と爆笑問題の太田光の対談も興味深く、『笑う超人 立川談志×太田光』のDVDを購入したのだ。
『笑う超人 立川談志×太田光』 |
製作が爆笑問題の事務所のタイタンであり、企画や演出を太田光が務めていることから、太田光の談志師匠への愛が詰まっている。
談志師匠との対談と談志師匠の落語をひとつの作品に収めたかったのだろう。もちろん世間に談志師匠の偉大さを広めたかったこともあると思うのだが。
対談では終始、太田光がおとなしく、談志師匠の話を真剣に(一切ふざけず)聞いている。
また談志師匠が過剰な程に太田光を認めていて、お互いのリスペクトが見える。
二人の対談は芸人同士の会話であることと談志師匠の持つ世界観なのか、シンプルな話をしているのだが少々小難しかった。
太田光が演出をしている割には、対談の合間にインサートされる社会問題的な映像は不要であった。二人の対談だけで十分に見応えがあるのだから、余計な演出は不要なのだ。
談志師匠の落語が収録されていて「黄金餅」「らくだ」を無観客のスタジオで披露する。
しかし特典映像で収録されていたタイタンライブで口演した「鼠穴」が、やはり客前での落語なので一番良かった。
落語に詳しくなく今まで落語に触れてこなかった者に関しては、事前に演目のあらすじを知っておくことが、談志師匠の落語をより一層楽しめる気がした(自分はそうであった)。
古典落語は言葉遣い等が難しくもあるので少々聞き取りづらかったり話の流れについていけない時があるが、あらすじを事前に調べて頭に入っていれば、非常に分かり易く談志師匠の表現やテクニックを堪能出来る。
談志師匠のしゃがれた声と落語の相性が抜群に良く、耳障りの良い聴き心地に前のめりになり、物語の世界にイリュージョンするのだ。
太田光が余りにも談志師匠を崇拝する姿が映し出され常に緊張している状態なのだが、もっと和気あいあいと話す姿も見たかったし、スタジオの外に飛び出した二人の光景も見たかった。
談志師匠のイチファンとして存在する太田光が強くいたので、同時にもっと深く踏み込んだ太田光の演出力が詰まっていれば、最高の作品に仕上がっていただろう。
同じ時代に生きた落語家と漫才師の両者の才能が、ひとつの作品に収められたことは有難い。記録をDVDにカタチを残した貴重な一本である。
談志師匠の落語はもちろん、他の落語家たちの落語も聴いてみたい気持ちになった。
何事も奥が深い。
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