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映画『すずめの戸締まり』ネタバレ・あらすじ・感想。

11日公開初日の朝イチで新海誠監督の最新作『すずめの戸締まり』を観てきたのだ。

『すずめの戸締まり』
エンタメに振り切ったフルスロットル。
新海誠版『魔女の宅急便』。
監督:新海誠
出演:原菜乃華松村北斗

 

予告編

 

 

解説

 
『君の名は。』『天気の子』などの新海誠監督が、“災いの元となる扉”を閉めるために旅をする少女の冒険と成長を描いた長編アニメーション。

 

主人公すずめ役の声をオーディションで選ばれた原菜乃華、災いを招く扉を閉める“閉じ師”の青年・草太の声をアイドルグループ「SixTONES」のメンバーの松村北斗が担当。

深津絵里、染谷将太、伊藤沙莉、花瀬琴音、松本白鸚や、新海作品常連の神木隆之介、花澤香菜も出演。

新海監督と3度目のタッグとなる「RADWIMPS」が、作曲家の陣内一真とともに音楽を担当。

2022年製作/121分/G/日本
配給:東宝

 

あらすじ

 
九州の静かな町で生活している17歳の岩戸鈴芽(すずめ)は、”扉”を探しているという青年、宗像草太に出会い、草太の後を追って山中の廃虚に辿り着いたすずめは、そこにあった古い扉に手を伸ばしてしまう。

やがて日本各地で次々と扉が開き始めて扉の向こう側からやって来る災いを止めるために、すずめは扉を閉める「戸締りの旅」に出ることに。

 

感想

 
君の名は。』『天気の子』と話題作を発表してきた新海誠の長編アニメだが、果たして本作はどんな物語を届けてくれるのか楽しみであった。

地震による災害が描かれていることぐらいしか前知識がなく、特に何の情報も仕入れずに観ることに。

災害をテーマにした物語だが、終始エンタメにフルスロットルしていて、退屈になるようなシーンは一切なかった。

主人公のすずめのこともよくワカラナイまま、すずめが偶然に出逢った草太に一目惚れしたことがキッカケで、どんどん物語は加速して展開され、廃墟にある謎の扉に起こる現象をある種観客を無視したまま繰り広げられていく。

事件が起こるまですずめの日常をのんびり描写するなんてことはせずに、オープニングからフルスロットルなのだ。

すずめの人物描写も不親切なぐらいにすっ飛ばしている。何せ草太との出逢いも早かった。フツー二人が出逢うまで時間がかかりそうだが、呆気なく出逢っちゃう。そして呆気なく「キレイ。イケメン・・・」と一目惚れしちゃって追いかけていくのだから、まどろっこしい要素を省きまくっている。

しかもそのまま学校も家もほったらかして、猫のダイジンを追いかけて椅子になった草太と旅をすることになってしまうなんて。物語はモーレツに展開されていくのだ。「物語の扉」は戸締まりするどころか開きっぱなしなのである。

行動力のない主人公ならば全然物語が進行しないが、行動力ありまくりで積極的なすずめはケガをして身体がボロボロになろうが巨大ミミズに立ち向かい「戸締まり」を決行する。

まぁ元々、すずめが「要石を引っこ抜きダイジンを解放してしまった」後ろめたさもあったのかもしれないが・・・。

流石に自分が引っこ抜いた要石が原因で草太が椅子になり、日本中で地震災害が起きまくって沢山の生命が奪われていったとしたら、もうそれはたまったものではない。

終盤で「わたしが要石になるっ!!」と叫んでいて「このコは勇気があって素晴らしいな」なんて思ってしまいそうになるが、「お前が原因なんだからそりゃそうだろ」と思い直した。自分のせいで多くの人たちの暮らしや生命が奪われていくのなら、もう自分が要石になるっきゃない!それは人として当然の想いだ。知らん顔して自分だけ鼻をほじくりながら変わらぬ日常を送ろうなんて虫がイイ話なのである。

本作で驚いたのが『ルージュの伝言』だろう。スタジオジブリの名作『魔女の宅急便』の主題歌を流すのか?!、と。

目まぐるしい展開の中でRADWIMPSの歌をガンガンに流すのが新海誠の真骨頂ではないのか。

そうか、本作は新海誠版の『魔女の宅急便』なのだ。

魔女のキキが旅を通して街の人たちと出逢い成長していくように、すずめは旅を通して色んな人たちと出逢い成長していく。

黒猫のキキではなく、白猫のダイジンが登場。

トンボの自転車の後ろにキキが乗った二人乗りのシーンがあったが、環(たまき)さんの漕ぐ自転車にすずめが二人乗りをしているシーンまで描かれている。

飛行船が落っこちるトンボの手をキキが握って助けるシーンも、すずめと草太が空中で手を繋ぐシーンとリンクするではないか。

だからこその『ルージュの伝言』なのだ。

巨大ミミズが上空で大きく広がっていく時は『天空の城ラピュタ』にも見えた。すずめが上空から水面に落下していくシーンは、シータが空から降ってきたシーンにも見える。

黒猫のサダイジンが巨大化した時は『もののけ姫』な印象も受けた。

そんなこんなの本作ではあるが、また違った新海誠を観れた気がして十分に楽しめた。

前作『天気の子』では「女の子一人を救うために多くの人たちを犠牲」にしたが、本作では「多くの人たちを救うために自分たちが犠牲」になろうと命を懸けて戦った。結果すずめも草太も無事に助かり、すずめも自分の過去と向き合い決着を付けることが出来て、最高のハッピーエンドを迎えることが出来たのである。

すずめの「行ってきます」は多くの人たちとの出逢いの中で「行ってらっしゃい」と見送られ、最後には草太との再会で「おかえり」と締めくくられた。

新海誠監督もまだまだ若く、当分は日本の長編アニメは新海誠監督の天下が続きそうだ、ってなところで「カット、カット」。

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