表参道のセゾンアートギャラリーで開催されているキングコング西野さんの『えんとつ町のプペル展』に行ってきた。
クラウドファンディングで入場無料にするために資金を募り、支援総額4637万3152円を集めた。支援者数は6257人、国内のクラウドファンディング史上最高記録となった。
もうただ者ではない。
芸人ということで「イタイなぁ」とか「何してんの?」とか妙に周囲がイジる傾向があるが(それはそれで芸人だから仕方ないのか)、実際の本当はとてつもない事をやってのけている。
『ディズニーを超える!』という発言は「芸人なのに何言ってんの?」ということではなく、その発言が芸人そのもの。それこそ芸人のくせに、お利口ちゃんになっている人が多いではないか。
人々をもっと驚かせたり楽しませてくれることが芸人の姿のはずならば、彼こそが今のお笑いの世界で芸人を貫いていると言えよう。
今回の個展の魅力は『光る絵』を展示していること。
通常ギャラリーでは絵に光を当てるが、『えんとつ町のプペル展』では絵自体が光っているのだ。
だから逆にギャラリー内は暗く照明を落としてある。
絵本で見た緻密に描かれた作品が、えんとつ町の町並みが、愛すべきキャラクターが、60cm×60cmの大きなサイズで僕たちの前に現れた。
えんとつ町は煙突だらけで頭の上はモクモク煙が上がって黒い煙に覆われていて、青い空も輝く星も知らない。それでもルビッチという少年は黒い煙の上には「ホシ」があるって信じてる。嘘つき呼ばわりされた父ちゃんが見た「ホシ」。町の人たちから嫌われているゴミ人間のプペルが見せてくれた「ホシ」。
僕は思った。光る絵って「ホシ」なんだ。
暗く演出されたギャラリーで西野さんが皆に「ホシ」を見せてくれたのだ。
現代社会の縮図である『えんとつ町のプペル』は、まさに「ホシ」を見れない社会で、ゴミ人間のプペルを皆で一斉に叩くように、何かを信じて挑戦する者をバカにするように、僕たちの頭の上は黒い煙で覆われている。
4年半の歳月を費やして完成したこの作品の道中で、西野さんは叩かれてきた。それでも天性の明るさと強い信念で、黒い煙の向こうの「ホシ」を見るために、そして皆に見せるために信じ続けた。
今回の個展では入場無料にして誰でもかまわず皆に「ホシ」を見せてくれている。
『えんとつ町のプペル』の話の後ってきっと、プペルをいじめていたアントニオ達にも「ホシ」を見せてあげるんじゃないのかな。そしたらプペルもルビッチも人気者になるし、ルビッチの父ちゃんはえんとつ町で語り継がれるだろうな。
嘘つきというレッテルが一夜にして「ホシ」を発見したヒーローになる。
世間がとらわれている常識なんて一夜にして変わるものなんだ。
それから僕は地下一階に行く。
まだ「ホシ」を見る前の世界。
そして地下一階には、「ホシ」があるんやで~!勝ちやん!オモロ!と、決して誰のことも否定しないホームレス小谷さんがいた。
この人には黒い煙の上にある「ホシ」が見えているんだろう。
『えんとつ町のプペル』の個展会場で是非とも輝く「ホシ」を見にきてください。
えんとつ町のプペルにしの あきひろ (著) |
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