2020年は多くの人たちにとって楽しみにしていたアートの展示が、コロナの影響下で延期になったり中止になったりして、やるせない想いをしているのではないだろうか。
誰が悪いわけでもない問題なので、気持ちのぶつけようもない。
ただただ、何も言えず諦めるしかないのである。
先日コラムで書いた記事の通り、「僕たちは一体、いつ美術館に行けるのか?」そんなモヤモヤが抜けきれない。
2020年は、東京オリンピックが開催される予定であったため、日本の「和」を強調したメッセージも展示会の企画が多くて、「浮世絵」が好きな僕にとっては喜ばしいことであった。
コロナ問題でオリンピックが延期になり(来年開催も厳しいとは思うが)、海外からの渡航者を「おもてなし」出来る状況ではなくなり、日本国内においても県外への外出すら自粛しなければならず、仮に美術館がオープン再開したとしても、すぐには大勢の人たちを受け入れる体制にはなれないだろう。
マスク着用、アルコール除菌、ソーシャルディスタンス、時間での入れ替え制、万が一に備えて可能な限りの配慮を考えながら、開催せざるを得ない。
楽しみのひとつであった、山梨県立博物館で開催予定であった『浦上コレクション 北斎漫画―驚異の眼・驚異の筆―』。
この企画を知った昨年から待ち遠しくて仕方なかった。
博物館が休館してから、『北斎漫画』展は延期になり、遂には中止になった。
正しい判断である。
開催は出来るわけがない。
ガッカリとしながら博物館のホームページを見ていると、『おうちで北斎漫画』という案内があり、スタッフさんたちが配置や順路等を考えて飾られた展示品の館内の様子や、「北斎漫画」の作品をWeb上ではあるが閲覧して入館することが出来る。
展示室のゲートを見ただけで、泣けてきそうなほどに、スタッフさんたちの仕事や想いが想像できて、胸が締め付けられる。
「北斎スゲーな」と単純に溜息が漏れるほどに、その技術とユーモアと心意気に感心してしまう。
全ての展示品が閲覧出来るわけではないが、「ステイホーム」の中で、出来る限り多くの方々に『おうちで北斎漫画』を楽しんでいただきたい。
閲覧出来るのは、2020年5月31日まで。
今後はVRで、館内にいるような感覚で展示品を見る機会も多くなるのかもしれない。
山梨県立博物館での『北斎漫画』が中止になり、その前には今年公開予定であった映画『HOKUSAI』も来年に公開延期になった。
また東京オリンピックに合わせて六本木の東京ミッドタウン・ホールで開催予定(7月18日〜8月30日)であった、特別展『北斎/HOKUSAI 2020』も来年に延期することが決まった。
僕たちは、いつ北斎と対面することが出来るのだろうか?
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