アートたけし展だ、コノヤロー!コマネチ!
山手線を4周して、僕が降りたのは有楽町駅。銀座松屋デパートにて開催されている『アートたけし展』を見に来たのだ。
さすがは、たけしさんである。朝10時からの開場で結構たくさんの人で賑わっている。年配の方も多い。いやはや愛されているなぁ。
浦沢直樹展で打ちのめされた僕は、自分は絵を描くことをやめようと思っていた。
だが、たけしさんの絵を見て「なんでもアリだな!」と、元気づけられたのである。
浦沢直樹が描いたプロの漫画化の生原稿はエネルギッシュで光り輝いていて、世界ランカーのプロボクサーを前にど素人が、その実力の差に打ちのめされるだけであった。
たけしさんの絵は「表現というものは自由であっていい」という想いがビシビシと伝わってきた。アートは「こうでなければいけない」というカタチはないのだ。だから楽しいものであるし、堅苦しく考えなくたってイイのである。
皆が皆、似たり寄ったりの絵を描いていてもツマラナイのだ。
たけしさんはアートというものをぶっ壊してやろうという感じがする。お笑いでも、それまでのお笑いをぶっ壊してきたし、映画でも、それまでの映画をぶっ壊してきた。アートもぶっ壊してやろうとしているんじゃないだろうか。
入口にあった天使の絵はめちゃめちゃキレイで、たけしさんの毒舌キャラとは想像がつかない程の美しさなのだが、その他の新作の絵たちはピカソを彷彿させるようなアート。原色をめいっぱい使って、たけしさんならではの世界観を思いっきり出している。
岡本太郎は「芸術なんて蹴飛ばしてやれ!」と言ったが、たけしさんもそんな感じがする。
「笑いとばしてやれ!」と鈍器でアタマを殴られたような衝撃。北野映画では暴力映画を得意としているが、「笑い」と「暴力」は似ているという。真逆の印象はあるが、「笑い」も「暴力」も一瞬で空気を変えるし、予期せぬ方向から突然やってくる。
たけしさんのアートは、「笑い」であり「暴力」である。
その「笑い」と「暴力」に魅了されるのだ。
そして僕は元気づけられたのである。
ものすごく精巧に描かれた芸術品ってのも世の中にはあるが、たけしさんのような何でもアリの自由な表現方法もある。
アートとは、自分だけにしかない表現をすることが大事なのだ。
アグレッシブにいつまでもモノ作りを続ける底知れぬパワー。
やっぱり、たけしさんはスゴイ人である。
アートたけしオフィス北野 (監修) |
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