呉美保監督の美しい旋律に参った。
女性の繊細な感性と映像テクニックが、重く自分に迫ってくる。
今後の作品も必ず観ていきたい監督である。
『きみはいい子』 上質な一級品を見せられた。 全てレベル高すぎ。 監督:呉美保 出演:高良健吾, 尾野真千子,池脇千鶴, 高橋和也 |
どれも一級品、上質なモノを見せられた感。
指揮者、奏者、素晴らしいテクニックで、最高のクラシックを聴いた感じ。
散りばめられた断片的な物語が乱雑になることなく、綺麗に見事にハマっていく。
圧倒的な子役たちの上手さ。
多数の人間が一人一人、勝手な動きをしているようで無駄がなく、それは雨の一粒一粒、桜の一枚一枚まで、全てがこの映画を作るために繊細に丁寧に動いていく。
この映画に携わった人、全員に文句なし。大好き!
尾野真千子が演じるママと池脇千鶴が演じるママが対照的で、なんでこの二人がママ友なんだろう?って、途中まで引っかかっていた。
尾野真千子がおとなしくて、池脇千鶴がベラベラ喋って、絶対に友達にならんよなぁと疑問だったが、後半でその謎も解け引っかかりが消えてスッキリした。
高橋和也もイイ。
『そこのみにて光輝く』での演技の上手さも異常だったが、めちゃくちゃイイ。
呉美保監督はスゴイ。
『パッチギ!』 僕は世代じゃないが、 世代がハマれば面白度UP。 監督:井筒和幸 出演:塩谷瞬, 高岡蒼佑,オダギリジョー, 余貴美子 |
有名な作品で評判もイイが、劇中での時代背景は僕の世代ではなく、世代がどんぴしゃハマれば面白度はUPするんだろうという作品。
主役って塩谷瞬だったんだと観終わってから知った。
本作の出演者たちは後に色々スキャンダルがあったが、個人的には高岡蒼佑が好き。
なかなか男っぽい風貌している。
世間を騒がしても、全然尖がっててイイと思う。
表現者が一般人の枠にハマるわけがない。
沢尻エリカも純朴な感じで良かった。
井筒監督のパワフルさが存分に出ていた。
『第9地区』 前半でクソ映画と思ったが、 後半で素晴らしい映画と思った。 監督:ニール・ブロムカンプ 出演:シャルト・コプリー, デヴィッド・ジェームズ,ジェイソン・コープ, ヴァネッサ・ハイウッド |
全然内容を知らず観ていて、前半で「は?何?このクソ映画?期待ハズレや!」と観るのを挫折しそうになったが、どんどん展開が面白くなってくる。
最初は宇宙人のデザインがありきたりで、つまらなく感じていた。
宇宙人が人間とフツーに会話して、しかも人間にいじめれ「なんや、このクソ映画」と思い、ドキュメンタリータッチで描く感じもつまらなかった。
だが後半になってどんどん展開が面白くなっていく。
主役じゃないと思っていたオッサンが主役で、何故か人間よりも宇宙人側に感情移入している自分がいたり、とにかく素晴らしい映画だと印象が変わったのである。
脚本にツッコミどころはあるにせよ、全然楽しめる映画であった。
差別する側と差別される側の見せ方が上手く、考えさせられた。
『怒り』 重いようで軽い。 深いようで浅い。 監督:李相日 出演:渡辺謙, 森山未來,松山ケンイチ, 綾野剛 |
重圧そうなテーマの映画だろうな、と思った。
登場人物の顔が皆、いかにも「何か背負いこんでます」って顔つき。
殺人現場のシーンで始まるが、「あぁ、またコレかぁ」という感じ。
血まみれの死体からのオープニングって、斬新なようですごく安易な表現。
殺人犯らしき容疑者を何人か登場させて「誰が犯人?」みたいな思わせぶりを繰り返しながら、そんなに驚きのない結末へと向かっていく。
全員暗い顔をして全然人生が楽しくなさそうなのだが、美男美女では説得力がない。
「何が不満やねん」って思う。
すごく重い雰囲気だが、何か軽い。
深いようで浅い人間ドラマ。
見飽きたキャスティング。
邦画のキャスティングは全然冒険しない。
人間ドラマの弱さをキャスティングでカバーしているようにも感じる。
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