『竜二 Foever』、高橋克典の金子正次役は最高だった。
『座頭市 THE LAST』は、勝新太郎の存在感には勝てなかった。
『竜二 Foever』 高橋克典の金子正次役の、 演技が上手すぎる!! 監督:細野辰興 出演:高橋克典, 香川照之, 石田ひかり,木下ほうか, 奥貫薫 |
伝説の映画『竜二』の金子正次の物語を高橋克典が演じる。
それが見事に上手かった。
松田優作をモデルにした高杉亘の見た目や声も上手かった。
金子正次の予備知識もなく『竜二』を観ないまま本作だけを観て楽しめるかは疑問ではあるが、『竜二』を好きな人なら観ていて楽しめる作品。
役者として芽の出ない金子正次と大スターであった松田優作は、『竜二』という作品に関わりながら衝突したり友情を深めていく。
金子正次は癌を患いながらも初主演作『竜二』を作り、劇場が連日満席になっていたが公開中にこの世を去った。
松田優作もまた癌を患いながらも念願のハリウッド出演作『ブラックレイン』の公開一ヶ月後にこの世を去った。
金子正次と松田優作の命日が、ともに11月6日であることも運命を感じる。
『竜二』という作品の裏側でも映画になりうる物語が詰まっている。
『座頭市 THE LAST』 映画として良きも悪しきもあり。 勝新太郎の足元にも及ばない。 監督:阪本順治 出演:香取慎吾, 石原さとみ, 反町隆史,倍賞千恵子, 仲代達矢 |
先ず座頭市を演じられる役者は、皆無と断言してもおかしくない。
勝新太郎の存在感が圧倒的過ぎて、それを超えるのは無理。
勝新太郎の名言「総理大臣の代わりはいるが、勝新太郎の代わりはいない」との言葉は真実である。
かろうじて北野武監督の『座頭市』は、ビートたけしの存在感や金髪の座頭市、タップシーンなどオリジナル感や新しさもあった。
香取慎吾の演技力は高かったが、座頭市を演じるには厳しすぎた。
長身の男前では、座頭市のイメージに違和感ありまくりである。自分のことを「あっし」と言う言葉遣いは香取慎吾には似合わず、ガニ股で歩く姿も似合わない。
本作の最大の問題点は、劇中で極端に「血が出ない」という点である。
腕を斬り落としても、一滴も血が出ない。
だったら、そんなシーンいらない。
雪景色の中で斬り合うシーンは映像的にはカッコ良かったが、これまた「血が出ない」。
真っ白な雪に血液が飛び散れば、もっとカッコイイシーンになっていた。
座頭市や敵連中が全然強さを感じられなかった。
良かったのは香取慎吾の演技力と雪景色と音楽。
『死霊のはらわた2』 コミカル要素が強まった。 前作以上の恐怖感はなかった。 監督:サム・ライミ 出演:ブルース・キャンベル,サラ・ペリー, ダン・ヒックス |
もうギャグ。ホラーをシリーズ化した時の宿命なのか。
前作以上の恐怖を描こうとすると、必然的にコメディー要素も強くなってしまう。
邦画の『呪怨』はパート2が一番好きではあるが、続編になればなるほどネタが尽きてきてコメディー要素が強くなった。
例えば心霊者写真で人物の背後から顔が出ていたとしたら、パート2では人物の前面に顔を出さなければ恐怖感は強くならない。同時にギャグにもなってしまう。
『死霊のはらわた2』はホラー映画としてではなく、コメディー映画として観ることをオススメする。
『グラン・トリノ』 大絶賛の高評価映画。 僕には理解不能。 監督:クリント・イーストウッド 出演:クリント・イーストウッド, ビー・バン,アーニー・ハー, クリストファー・カーリー |
クリント・イーストウッドのファンにとっては、面白い映画なのだろうか。
『ダーティーハリー』や『夕陽のガンマン』のイーストウッドが、銃を撃つか?撃たないか?そんなシーンで喜ぶことだろう。
感動する大絶賛映画らしいが、正直全然感動しなかった。
「過去に傷を持ったガンコジジイが少年と心を通わせる」なんてことは、ありきたりのストーリーで、その手法でイチイチ感動しない。
イーストウッドが幾度も吐血するシーンがあったが、あれは何だったの?
物語上、病気である意味が全くなかった。
病気の老人を演出することで、感動をより増幅させようとする浅はかな演出にしか見えない。
病気がちなガンコジジイよりも、逆に健康バリバリの元気なジジイがポックリ死んでしまう方が泣泣けると思うが。
現在87歳のイーストウッドの新作『15時17分、パリ行き』公開等、今もなお意欲的に作品を創っていることは尊敬する。
この記事へのコメントはありません。