あおいけいさんの作品集『NOZOKU』を購入。
以前にミニ画集も購入。それから個展にも足を運んだ。
『NOZOKU-作品集』 あおいけい |
「目に見えるものと目に見えないものは対極にあるようで対極にはない」と、あおいけいさんが言うように、目に見えるものを表現するだけなら「お上手作品」でしかないが、目に見えないものを表現することで「生きている絵」になる。
「生きている絵」は、その空間が描かれ、光や空気の流れまでもが伝わってくるのだ。
絵を鑑賞することで視覚的な効果だけではなく、音を感じ、匂いを感じ、味を感じ、触れたように手触りを感じる。
「生きている絵」は呼吸をしている。
あおいけいさんの求めるリアリズムは決して目に見えるものだけではない。目に見えないものが表現されているから、そこに尚更リアリズムも感じるのだ。
自画像が描かれ、愛しい子供たちの成長が描かれ、静物画も描く。あおいけいさんの作品は多彩だ。色んな絵がページをめくるごとに飛び込んで来て、胸が高鳴るように楽しませてくれる。
中でも僕が好きなあおいけいさんの作品は花魁をモチーフにした絵だ。
個展に伺った時にもポストカードを購入させていただいた。
あおいけいさん自身も花魁という存在に惹かれたのだという。海外向けに描かれた作品だが、僕はあおいけいさんが描く花魁の絵が好きなのだ。
着物姿の彼女たちの美しさと儚さと寂しさと可憐な佇まいに心奪われる。
『NOZOKU』では作品と共にあおいけいさんの想いを綴った文章が載せられ、それらを読むことで作品がより深く感じられる。もちろん最初は何の先入観もなく予備知識もなく作者の想いも知らぬまま作品に没頭することも良い。自分の感受性だけを自由に解放して感じたままに想像の宇宙を羽ばたくのだ。
そして文章をなぞっていく。あおいけいさんの制作意図や製作過程の想い心境が浮き彫りになった時、更に味わい深く作品を凝視することが出来る。
作品集は何度も何度もページをめくり、作品ひとつひとつを覗くように進んでは戻り進めていくことが出来る。
あおいけいさんが覗いた世界が、自分の目を通して覗いた世界と重なり行く。
リアリズムを追求した独学で表現する、あおいけいさんの今後の作品も非常に楽しみだ。
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