前作、『君の名は。』を観てから3年。やっとこさ、新海誠監督の最新作『天気の子』を観てきたのだ。
興行収入も100億を突破したみたいですね。
ネタバレも少しありつつ僕の感想を書いていくので、まだ作品を見ていない方はご注意下さい。
新海誠監督自身、賛否のある作品だと認識したうえで作ったらしいが、結論から言うと、僕は非常に面白かった。
賛否の否の意見もわからなくはないが、それはどんな作品にでも人の好き嫌いはあるもだから仕方ない。
音楽と映像
新海誠監督の映画にゃあ、RADWIMPSの音楽が良く似合う。
『君の名は。』に続いて、今作も音楽はRADWIMPS。
新海誠監督の映画に、これほどまでにマッチする音楽があるだろうか。
『君の名は。』『天気の子』は、非常に映像の場面展開がスピーディーなので、観客の気持ちを高揚させて疾走感溢れる物語を煽らせていくうえで、RADWIMPSの音楽は欠かせないものだ。
今回、「天気」というものをテーマにした映画という事もあって、アニメならではの超絶に美しい「天気」を絡めた映像が次から次へと目まぐるしく流れる。
雨や日差しが、東京の街に映し出される情景は、すこぶる美しい。
現代と若者
新海誠作品の物語や登場人物は、詩的であり文学的であり、現代らしくはない。
しかし現代のテクノロジー(キャラがスマホを活用していたり)や音楽、スピーディーな映像展開は、まさしく現代に合っている。
僕たちは退屈に対する我慢が、昔に比べて弱くなった。生活にスマホが普及した事で、ネットニュースやSNSをスピーディーに読み漁って、新しい話題、新しい話題へと素早く移り変わっては、日常の退屈を当たり前のようにしのいでいる。
スマホで動画を見る時は、退屈だと判断すれば視聴を飛ばすか止めるか。
次から次へと指でスライドさせて、次の場面、次の場面へと、飛ばしていく。
現代の若者にとっては、それは普通の事であり、退屈だと判断すれば、すぐに離脱してしまうのである。
『天気の子』は、退屈させないスピーディーな物語の展開で、次から次へと新しい情報を観客に与えてくる。
物語はあっちゅう間にラストまで展開されていく。これは現代向けであり、若者向けである。
昭和の時代なら、もっとのんびりとした場面展開になっていたはずだ。
また主役の二人も若く、10代の頃の純粋な感情を強く持っている。
そりゃ、大人二人が主役の設定ならば、物語も全然違ったカタチで進行していくだろう。
でも若い二人だからこそ、とにかく純粋な感情で突っ走る。後先なんて考えない。
大人の視点や意見を言えば、「バカだなぁ」「もっと冷静に考えろよ」とツッコミを入れたくなるところもあるが、若い時というのは理屈関係なしに突っ走るものだ。
『君の名は。』と『天気の子』
『天気の子』の劇中にも、『君の名は。』の瀧や三葉が出てきたりするという、新海監督のサービス精神や遊び心がある。
『君の名は。』では、彗星の衝突による震災があり、主役の二人は、その震災の被害を抑えて歴史を変えた。
『天気の子』では、主役の二人は、陽菜を生かすために大規模な雨の被害を生み出す事になった。
『君の名は。』では、田舎道を自転車で疾走した。
『天気の子』では、都会をオートバイで疾走した。
『君のは。』では、三葉が田舎で育ち、瀧が都会に住んでいた。
『天気の子』では、帆高が田舎で育ち、陽菜が都会に住んでいた。
感想
冒頭は、「非現実的だなぁ」と思いながら観ていたが、その「非現実的」な物語の中にまんまと入り込んでしまっていた。
「天気」をテーマにした作品というのは、その発想がお見事で、新海監督の美しいアニメで超絶に活かされるテーマであった。
ラスト、帆高がとにかくムチャクチャをする。警察署から逃げ出したり、お世話になった人にまで拳銃向けたり。もう、どうしようもない犯罪者。「おいおいちょっと待ちなさいよ」と思うが、陽菜ちゃんに会いたいもんだから、ムチャクチャ突っ走る。
終いには、「天気なんかどーなってもいい!ずっと雨でも構わない!陽菜がそばにいてくれ!」みたいな事を叫び出すもんだから、東京の街が雨で沈んじゃう。
賛否の否があるのもわかる。
もしかしたら賛否の否を唱えている人の方が、真剣に感情移入しているのかもしれない。
僕は「これはアニメだから、これでイイ」と割り切って観ていた。
例えば、ゴジラが東京や自分の知っている街並みをどんどん破壊しても、「もっとやれー!!」って楽しんじゃう。でも感情移入していたら、「ゴジラやめてくれ~!!」って思う。「これは映画だから、これでイイ」って思っている。
『天気の子』では、帆高がムチャクチャな行動を起こす事によって、多くの大人や色んな人達が巻き込まれて、結果東京も沈んじゃう。
僕はそんな展開もひっくるめて、だいぶ面白かった。
前作『君の名は。』を観た時も衝撃を受けて自分の創作活動に火がついたが、今作『天気の子』を観てまた創作意欲が湧いてきました。
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