山梨県立美術館にふらっと芸術鑑賞をしてきたのだ。
お盆休みで兄が山梨に遊びに来ていたので一緒に美術館に行ってきた。
山梨県立美術館には企画展目当てで訪れた事はあるが、常設されている『ミレー館』は今まで見た事がなかった。
『ミレー館』と、この日開催されていた『黄昏の絵画たち』を鑑賞してきた。
山梨県立美術館には、ミレーとバルビゾン派の作品を中心に紹介するミレー館と、山梨ゆかりの作家たちの作品を中心に紹介する展示室等があり、山梨に住み始めて約20年、初のミレー館を体験する。うん、しちゃう。
ミレー館に入って第一歩、先ず目の前に飛び込んできたのが、『ポーリーヌ・V・オノの肖像』だ。
ミレー館で見た作品の中で僕が一番好きな作品。
優しい眼差しをした何とも魅力的な女性の美しさにグッと目を惹く。
この絵に描かれているのはミレーの結婚相手であるポーリーヌという女性。結婚する5年位前からポーリーヌをモデルにした作品を制作している。本作では落ち着いた柔らかい表情だけど、他の作品では緊張した堅い顔なども残っている。ポリーヌとの距離感や心境などを作品にリアルに投影している。斜に構えた姿勢から顔だけを画面に傾ける姿は、ダヴィンチの『モナリザ』と似ている事からミレー版のモナリザと評されている。
ミレーの最初の妻で、体が丈夫ではなく22歳の時に他界したらしい。
純粋な想いで、愛する女性を丁寧に美しく描いたミレーの気持ちが伝わってくる。
ミレーといえば有名な『種をまく人』『落ち穂拾い、夏』等の現物を目の当たりに出来た事は喜ばしい。
西洋絵画では17世紀に「風景画」が成立して、19世紀のターナー、コンスタブル、ミレーやルソーといったバルビゾン派の画家たち、モネやピサロといった印象派の画家たち、20世紀のモダニズムの展開へ、「夕日・夕景」のテーマは引き継がれている。
また明治時代に西洋絵画の技術と文化が本格的にもたらされた日本では、それまで自国の文化のなかで培われてきた情緒や象徴性と結びつきながら、絵画における「夕日・夕景」の表現が展開した。
本展では、西洋絵画から浮世絵、日本画まで、約160点を展観し、「黄昏の絵画たち」の豊かな世界をひもといている。
簡単に言えば、西洋や日本の夕景の絵を集めた展覧会だって事ですな。
夕景というのは人の感受性を豊かにしてくれるものなのだろうか。
夕焼けに染まった空は、ほんの一瞬の出来事。感受性は、その一瞬を捕らえて放さない。
画家たちは、その夕景の美しさを、一筆一筆、それぞれの世界を表現して、一枚の絵に残している。
僕個人の好みではあるが西洋絵画よりも日本画に惹かれた。
幾つもの夕景作品を見て、中でも僕のお気に入りは和田英作『おうな』である。
空に広がる夕焼けは海を美しく染めて、海に反射した太陽は一本の道のように射し込む。腰を曲げた老婆は傘を杖代わりにして、目の前に広がる美しい情景に目を向ける事なく、とぼとぼ歩いている。まるでそれは人生の夕景であるかのように、感傷的な気持ちになるのだ。
やはり日本の情景の方が、遺伝子レベルで、どこか懐かしさを感じるのかもしれない。
写真は、岡本太郎の作品『樹人』。
夏の暑さ、最寄りの美術館に涼みに行くのもイイんじゃないのでしょうか。イエイ!!
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