蜷川実花監督のNetflixオリジナル作品を、二日間で一気見した。
Netflixの強みと蜷川実花監督の強みがMIXされて、日本の地上波のドラマではあり得ないクオリティーを贅沢に堪能することが出来る。
『FOLLOWERS』 蜷川実花監督のNetflix作品を贅沢に堪能。 美しい色彩表現と泥臭い人間ドラマの対比が素晴らしい。 監督:蜷川実花 出演:中谷美紀,池田エライザ,夏木マリ,板谷由夏,コムアイ,中島美嘉,浅野忠信,上杉柊平,金子ノブアキ |
幸せを求めて懸命に生きる女性たちがSNSを通じて交差する様を、「TOKYO」のリアルを交えて描くNetflixオリジナル作品。
昨年『Diner ダイナー』『人間失格 太宰治と3人の女たち』と立て続けに話題作を発表した蜷川実花が監督。
主人公の人気写真家・リミ役を中谷美紀、女優志望のなつめ役を池田エライザが演じる。
夏木マリ、板谷由夏、コムアイ、中島美嘉、浅野忠信、上杉柊平、金子ノブアキらが脇を固める。
『FOLLOWERS』
2020年2月27日よりNetflixで独占配信。
写真家の奈良リミは、仕事は順調だが、いつか子どもを持つ夢を叶えられずにいた。
ある日、リミは撮影現場で女優志望のなつめと出会い、なつめの姿に「世の中に対して怒っていた」若いころの自分を思い出して、思わずシャッターを切る。
リミがその写真をインスタに投稿したことで、なつめの運命は一変する。
一方、リミもなつめとの出会いに刺激を受けて、夢を叶えていく決意をする。
僕は昨年、『Diner ダイナー』も『人間失格 太宰治と3人の女たち』も映画館で観に行ったほど、蜷川実花監督の生み出す世界観が好きで『FOLLOWERS』の配信も楽しみにしていた。
ドラマで拡がる蜷川実花監督の色鮮やかな独特の世界観を、Netflixという莫大な製作費をかけて遺憾なく発揮されている。日本の地上波のドラマでは予算の関係上、ここまでの世界観を作り上げるのは厳しいと思うが、Netflix自体が魅力的なコンテンツ作りに思いきり力を注いでいるので視聴者にとって有難いほどの贅沢である。
当然ながら日本の地上波のドラマはクオリティーの高さにおいてNetflixには勝てない。
スポンサーがついて放送される地上波のドラマではお金を出すスポンサーの顔色をうかがわなければいけないが、Netflixではユーザーからの課金で製作費をまかなっているので、『FOLLOWERS』では堂々と沢尻エリカが出演している。課金しているユーザーはイヤなら観なければいいが、地上波のテレビでは「イヤなら観ない」という選択肢はスポンサーにとってあってはならない事態なのだ。
Netflixオリジナル作品の魅力は、ドラマの一話分の尺が決まってないということにもある。
テレビのように何時から何時までという放送時間が決まってないので、一話を50分にでも40分にでも30分にでも出来る。ドラマを作るモノにとっては、決められた尺に合わせなくていいので、自由にシーンを繋ぎ合わせることが出来る。苦渋の想いをしてカットしなければいけないということがない。
また配信日に全話一挙配信というのは一週間に一話を観るというスローペースではなくて、空いている時間にドラマを一気見することが出来て非常に合理的だ。
貴重な蜷川実花監督のドラマをNetflixで制作してくれたということは、視聴者にもストレスなく観ることが出来て有難いことである。
蜷川実花作品を語る上では切っても切れない色彩表現。
衣装、部屋の美しさはもちろんのこと、東京の街並みが美しい。夜景、東京タワー、桜並木、渋谷、どこを切り取っても蜷川実花監督の繊細な感性によって、美しく描かれている。
美しく彩られた美術と泥臭く生きている人間の姿の対比によって、登場人物の感情が浮き彫りにされて、気が付けば『FOLLOWERS』の出演者の誰かと自分自身を投影させて観ている。
女性を取り巻く男性陣が深くて優しい。皆、スマートで大人のいい男である。
男たちは皆とても落ち着いていて自信があって余裕があって、いかにもモテる男たち。そして、お洒落。
背筋を張って一生懸命生きながらも本当はもろくて壊れそうな女性を、支えて励まして抱きしめてあげる、素敵な男たちが登場するのだ。
『FOLLOWERS』は女性の幸せを描いた物語。
仕事や出産、恋人や結婚、また挫折や病気、それらを通して、時には泣き、時には笑い、一生懸命に生きていく現代での女性の姿が美しく描かれている。
主役である奈良リミや百田なつめの視点だけではなくて、それぞれの脇役陣にも焦点を当てて、それぞれの立場を通して細かく人間を描いている。
リミやなつめが特別に活躍するドラマではない。それは彼女たちを取り巻く周囲の人たちにも、それぞれ自分のドラマがあるからだ。皆、背負っているものがある。脇役陣の個性を深く掘り下げていくことで、それぞれが抱える問題や課題を作ることでドラマの持つ全体的な魅力度を上げている。
女性の感性ならではで、女性たちは集まってよく喋る。仕事の話、恋愛の話、下ネタなんかも交えながらよく喋るのが特徴的なドラマだ。
女性の仕事観や恋愛観、結婚や出産など、現代に生きる女性ならではの価値観で、古い体質に縛られない自立した女性を描いている。
『FOLLOWERS』は蜷川実花監督自身の姿であるというのが僕の見解だ。
写真家として必死に駆け上がってきた自分の人生、子供を育てながら、仕事と子育てを両立して、男性社会で背筋を伸ばして頑張ってきた自分自身。色んな葛藤の中で、女性としての幸せを歩んでいる蜷川実花監督自身による蜷川実花監督自身のドラマだと思った。
真相はわからないが、想像だけではここまで繊細にリアルに描けないはずである。
『FOLLOWERS』は特に女性が共感できるドラマだろう。
そういえばホリエモンの演技がリアルでやたらと上手かったのが印象的であった。
ということでNetflixオリジナル作品『FOLLOWERS』をオススメしたところで、「カット、カット」。
この記事へのコメントはありません。