映画やドラマ、演劇等でも描かれてきたゴッホという魅力的な人物と、その生涯。
また日本におけるゴッホ人気は高い。
そんなゴッホの映画を観た。
『永遠の門 ゴッホの見た未来』 説明不足と説明過多が混在。 耳切り事件は映像で観たかった。 監督:ジュリアン・シュナーベル 出演:ウィレム・デフォー ルパート・フレンド オスカー・アイザック |
本作で、2018年・第75回ベネチア国際映画祭コンペティション部門、ゴッホ役を演じた主演ウィレム・デフォーが男優賞を受賞。
『潜水服は蝶の夢を見る』『夜になるまえに』のジュリアン・シュナーベルが監督。
ゴッホ役のデフォーのほか、ゴーギャンをオスカー・アイザック、生涯の理解者でもあった弟テオをルパート・フレンドが演じる。
さらにマッツ・ミケルセン、マチュー・アマルリックら豪華キャストが共演。
2018年製作/111分/G/イギリス・フランス・アメリカ合作
原題:At Eternity’s Gate
配給:ギャガ、松竹
人付き合いが苦手なフィンセント・ファン・ゴッホ(ウィレム・デフォー)は、絵を愛して、いつも孤独であった。
唯一才能を認め合った画家ゴーギャンとの共同生活も、ゴッホの行動により喧嘩が勃発して破綻。
しかし、ゴッホは絵を描き続けて、後に名画といわれる数々の作品を残す。
ゴッホの生涯を通して、ある部分を切り取った物語だが、「ゴッホのこと、あまり知らない人に伝わったのかな?」という疑問は残る。ある程度ゴッホの生涯に関しての予備知識がないと、よくわからない気がした。
ゴッホに関しても、弟テオに関しても、親友ゴーギャンに関しても、描写が不親切である。必ずしも「ゴッホの人生」をまんま描く必要性もないのだが、僕は「ゴッホの人生」を個人的に観たいのだ。
ゴッホが見てきたであろう風景は、凄く美しくて良かった。この映画では、極端に台詞が少ないシーンと、極端に台詞が多いシーンが混在している。
極端に台詞が少ないシーンでは、大草原やゴッホが見てきたであろう風景が画面いっぱいに美しく映し出されていて、「あぁ、いいなぁ」と思わせてくれる。僕も、そこに立ちたいと。
また極端に台詞が多いシーンがある。会話シーンでは、説明過多な程に、よく喋る。ゴッホの絵に対する熱い想いと、狂気までの才能と、孤独、そして人に対しての深い愛情は、説明過多にならない方がイイと僕は思うが・・・。
ゴッホの有名な逸話に、親友ゴーギャンとケンカした際に「ゴッホが自分の耳を切る」事件があるが、そのシーンは描かずに、その後延々とそのことについて語る会話シーンがある。
そんな会話シーンを入れると「ゴッホの狂気」は薄れてしまうのだ。
自らが解説してしまえばしまう程、その「狂気」は失われていく。
「ゴッホの狂気」を特別に描く必要もないが、やはり「耳切りシーン」は会話ではなくて、その映像を観たいのである。
「耳切りシーン」の映像を、敢えて描かない美学もわかるが残念な気持ちである。
「絵を描かないと、人を殺してしまうかもしれない」といった台詞があったが、それを「わざわざ台詞にするかねぇ」と思うのだ。そこは映像で見せてくれ、と。本作は、説明過多なところと、説明不足が混在していて、嫌いな映画ではないが僕の肌には合わない。
最後の「ゴッホの死」は、一般的にはゴッホによる拳銃自殺とされているが、もうひとつの説「ゴッホ他殺説」を描いている。少年たちが撃った拳銃の弾がゴッホの脇腹に命中して、「少年たちをかばうために」ゴッホは口を割らなかったのだ。
悪い映画でもないし嫌いな映画でもないけど、ゴッホという人物、ゴッホの人生を描いた映画となると僕は満足出来なかった、といったところで「カット、カット」。
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