清水崇監督の『輪廻』を観たのだ。
『輪廻』
清水崇監督のホラー描写力。 |
『THE JUON/呪怨』で日本人初の全米興行ランキング第1位を獲得した清水崇監督が描く、前世の因縁を背負った新人女優に降りかかるミステリー・ホラー。
脚本は、清水監督と安達正軌の共同。
輪廻転生をテーマにしたミステリアスな物語をノンストップの恐怖で一気に見せていく。
バラエティー番組等では明るい優香だが、徐々に追い詰められて行く女優を迫真の演技で見せる。
共演は『深呼吸の必要』の香里奈。
米国をはじめ海外での公開も決まり、リメイクの話も殺到中だという話題作である。
2005年製作/96分/日本
配給:東宝
35年前の無差別殺人事件を基に映画が作られることになる・・・。
昭和45年に群馬のとあるホテルで11人が犠牲になった無差別殺人事件が起こった。
犯人は大学教授であり、ホテルで働く人や、宿泊客だけでなく、自分の子どもたちも殺害してしまう。その後犯人の大森教授は自殺し、動機など詳細は不明なまま幕を閉じたのだ。
それから35年後の現代に、この事件を題材にした映画「記憶」が作製される事になる。
殺害された犯人の娘役に新人女優の渚(優香)が主役の座を手に入れる。
しかし、無気味な幻覚にうなされて、渚は犠牲者の少女の幻を見るようになる。
「私はその少女の生まれ変わりなのか?」そう思うようになっていく。
一方、女子大生の弥生(香里奈)は昔から行った事もないホテルを何度も夢に見る。
それは前世の記憶だと指摘されて、新聞記事からそのホテルでの事件を知るのだ。
事件の忌まわしい記憶が人々を引き寄せ、新たな惨劇をもたらす・・・。
さすがの清水崇監督といった作品。
物語は『呪怨』とは違うが、見せ方としては共通する箇所が随所にあり、ホラー映画の描写テクニックが見える。
『輪廻』といった生まれ変わりをテーマにして、前世での恐怖を現世で味わせるのだ。
前世の恐怖の記憶がフラッシュバックして襲いかかる様は、『呪怨』で見せた、過去の忌まわしき殺人事件の模様が映し出されるのと同じである。
また前世の記憶を蘇らせる方法として、女優である主人公が「前世で起きた連続殺人事件」を現世で演じなければいけないという状況下に置かれることだ。
そんなバカげた恐怖があるだろうか。
現世でも苦しめられるなんて、そんな残酷なことはない。
しかし、さらにこここに、もっと残酷な真実を突き付けてくることで、本当の恐怖が描かれている。
主演の優香も、ここまで演技が上手いとは思わなかった。非常に繊細に恐怖に怯える主人公を演じている。
優香の演技力と清水崇監督のホラーの描写力は必見である、といったところで「カット、カット」。
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