過去に幾つか作った「化化」シリーズを、今回アニメ化してみた。
アニメ化するには、アニメならではの物語にした方が面白い。
となると、設定は「時代劇」。
「化化」の世界観を時代劇で表現するのだ。
いにしえの時代、サムライたちはバケモノと戦っていた。
迫りくる敵に立ち向かい、サムライたちは自分の命を賭けてバケモノと対峙して戦ってきたのだ。
侍がバケモノと戦うという設定ならば、墨と筆で描くのが雰囲気が良さそうだ。
血生臭い風に吹かれて、刀の切っ先が頬を這う。
枯草のざわめきが、狂った真剣勝負に煽り立てる。
「サムライとバケモノが対決していたなんてバカを言いなさんな」と言う意見もあるだろう。
しかし、江戸時代の浮世絵では歌川国芳が幾枚もの「サムライとバケモノ」の対決の絵を描いているのだ。
日本には多くのバケモノが棲息して、人間の生活を脅かしてきたのである。
勇敢なサムライたちは、バケモノと戦いながら、自分の名を上げてきた。
素早く動き人の頭部を切り落とす「化化」は、サムライたちにとっては憎き存在であり、「化化」を退治することがサムライたちにとって誇り高き勲章であったのだが、そう簡単に「化化」を倒すことなど出来ない。
四足歩行のバケモノは、ガサガサと物音を立てながら、標的を見定める。
目ん玉を見開き、口を大きく開いて、赤い皮膚に全身の血液が駆け巡り、人間の頭部を切り落とさんと興奮している。
国芳だけではない、幕末明治には河鍋暁斎という絵描きが、やはりバケモノを描いていたのだ。
サムライとバケモノの死闘は、僕たちにとっては「古(いにしえ)」である。
昭和、平成、令和と僕自身も時を跨いできたが、バケモノたちはさらにもっと数百年前から棲息しているのだ。
また血が流れた。この大地には多くの争いの血が流れた。戦うことを嫌いながら、戦うことを好み、戦わずにいることが意気地のない者と見なされて、戦う道をひたすら突き進んでいく。
血の匂いに釣られて、また来た。ヤツも来た。カラダに流れる闘争心という本能が、脳内麻薬を分泌させて、ケタケタ笑っている。
血の匂いは風に吹かれて、木の葉は風に舞う。
そこに対峙したのは、サムライとバケモノなのだ。
それでは、墨と筆で描いたアニメーション作『化化 古 – BAKEBAKE INISHIE – 』をご覧くださいませ。
『化化 古 – BAKEBAKE INISHIE – 』
上映時間3分32秒 |
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