2日、正月ドラマ『ライジング若冲~天才 かく覚醒せり~』を観た。
『ライジング若冲(じゃくちゅう)~天才 かく覚醒せり~』 まさかのBLもの。 若冲と顕常の友情を超越した物語。 演出:源 孝志 出演:中村七之助,永山瑛太, 中川大志,大東駿介,門脇 麦,渡辺 大,市川猿弥 |
江戸時代の天才絵師・伊藤若冲の、謎に包まれた天才の実像を初めて本格的にドラマ化。
綿密な考証と大胆な仮説に基づいた、アートなエンターテインメントとして世に問う問題作である。
岩次郎(中川大志)が奉公する店に美しき僧侶・大典(永山瑛太)が現れて、謎めいた絵に心を捕まれる。
その絵を描いたのは青物問屋の源左衛門(中村七之助)。彼は路上で謎の仙人(石橋蓮司)と出会い「若冲(じゃくちゅう)」という名を譲ってもらう。
そして大典と運命的な出会いを果たして、生き物の世界を超絶技巧で描いた「動植綵絵(どうしょくさいえ)」誕生背景にあった男同士の友情とは?
新春ドラマで2日に放送された伊藤若冲のドラマを真面目に観ていたのだが、「まさかのBLもの」で驚いた。
二人が手を握り合ったりするシーンを意味ありげに挿入してきたり、見つめ合ったり、SNS上では意外と好評であったみたいだが、真面目に若冲の絵描き人生を学びたかった僕にとっては「あんたら何してんねん?」と目を疑わずにはいられなかった。
江戸時代の天才絵師・伊藤若冲を演じたのは中村七之助さんで、大典顕常(だいてん・けんじょう)を演じたのが永山瑛太さん。
何故、このドラマではBLを描き、そもそも若冲と顕常はどんな関係であったのか?を調べてみた。
本作のドラマでは、精密な考証と大胆な仮説に基づいて制作されている。
史実を紐解くと、18世紀、京の都に生きた若冲の周りには、ビジュアルも言葉も刺激的な美意識の高い男性たちが群がっていたらしい。
中川大志演じる円山応挙(まるやまおうきょ)や大東駿介演じる池大雅(いけのたいが)等、美しい男子を迎えて魅せる「天才絵師・若冲の世界」。
名プロデューサーでもある僧侶の顕常は、美しく、若冲と初めて会った時から、互いに強く惹かれ合い深い絆で結ばれたという。
顕常は近江生まれ、相国寺の禅僧である。漢詩を愛して、若冲を見出してからは生涯支援をしたのだ。
若冲の終生において最高の理解者で、名プロデューサーの役割を果たした禅僧であったのだ。
そして物語は若冲の『動植綵絵(どうしょくさいえ)』の誕生秘話が紡がれるのである。
若冲と顕常のBLはどーでもいいとしても、若冲の絵と向き合う情熱は興味深い。
『老松白鳳図』と『芦雁図』は、つがいになっており二つで対になっている。
若冲と顕常が向かい合い見つめ合っているのである。
『老松白鳳図』
『芦雁図』
『老松白鳳図』は確かにハートマークだらけだ。
ハートというモノが、この時代に「愛」のようなシンボルとして認識されていたかは分からないが、非常に美しい表現である。
ハートがなければ、この作品は少し寂しく物足りない。
人気の絵師・伊藤若冲であるが、このドラマを通して、さらに興味を抱いた人も多いのではなかろうか、といったところで「カット、カット」。
目をみはる 伊藤若冲の『動植綵絵』 |
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