ジョージ・A・ロメロの『ゾンビ』を観たのだ。
『ゾンビ』 迫りくるゾンビの群れ。 ユーモアある愛くるしいゾンビ達。 監督:ジョージ・A・ロメロ 出演:デビット・エンゲ,ケン・フォーリー,スコット・H・ラインガー |
ジョージ・A・ロメロ監督による「ゾンビ映画」というジャンルを確立した傑作ホラー。
『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド/ゾンビの誕生』に次ぐ“リビング・デッド”プロジェクト第2弾。
色彩・音楽・特殊メイク(トム・サヴィーニ)共にパワーアップされたアクション編。
本作にはアメリカ公開版(127分)、ダリオ・アルジェント監修版(119分)、アルジェント版をもとに日本の配給会社が独自の編集を施した79年の日本初公開版(115分)、ディレクターズカット版(137分)といった複数のバージョンが存在する。
そのうち配信もソフト化もされておらず幻のバージョンとなっているのが115分の「日本初公開版」である。
2019年11月には日本初公開から40周年を記念して、「日本初公開復元版」としてリバイバル上映された。
1978年製作/139分/アメリカ・イタリア合作
原題:Dawn of the Dead
日本初公開:1979年3月
突然、原因不明のまま死者達が蘇って次々と人間を襲い生肉を貪り始めた。
パニックに陥った人々は秩序もモラルも失い、無益な殺し合いを繰り返す。
テレビ局員のスティーブンは、修羅場と化した街に見切りをつけて、恋人のフラン、SWAT隊員ロジャーとピーターと共にヘリで夜空に飛び立ち、巨大なショッピング・センターへと辿り着く。
モール内のゾンビを一掃して食料と安全を確保したが、物資を狙う暴走族の集団に扉をこじ開けられ、ゾンビの大群までなだれ込んできた。
ゾンビ、暴走族との三つどもえの殺戮戦の中、生き残りをかけて奔走するフランたちであったが・・・。
ジョージ・A・ロメロ監督の『ゾンビ』を観たのだが、色んなバージョンがあるらしい。僕が観たのは「ディレクターズカット版」である。
凄く印象的だったのは恐怖のシーンでありながら、ゾンビ映画に相応しくないテンポのゆるい音楽を流していたことであった。
もしかするとそれが映像と音楽のミスマッチによる妙なアンバランスさで、不可解な空間へといざなう演出であったのかもしれない。
通常ならばもっと「おどろおどろしい」恐怖の音楽を流したり、衝撃的な激しい音楽で過剰に恐怖を演出してしまいがちである。
この不協和音が作り出した精神のアンバランスさとゾンビたちの群れが、妙に愉快でもあり、ジョージ・A・ロメロ監督の世界観にどっぷりと浸からせてしまう効果があるのだ。
公開当時はゾンビの恐怖に打ち震えて、おののいたのだろうか。
劇場公開から40年以上経った現在では、そのゾンビ達も何故か愛くるしい。可愛げとユーモアがあるのだ。
だが実際問題、あんなに楽しい僕たちのユートピアであるショッピングモールを、ゾンビの群れが支配してしまっていたとしたら、それは恐怖でしかない。絶望感を抱きながら逃げ惑うだろう。
それにしてもゾンビ役を演じるって、何だか楽しそう。
人間としてゾンビから逃げ惑う恐怖を味わうよりも、ゾンビの皆とワーワー群れていた方が楽しいかも。
だけど一番怖いのは、自分が人間からゾンビに徐々に変化していってしまってる時かもしれない。
「あー、俺ゾンビになるよぉ」そんな気持ちで悲しくなるけど、人間なんてものに未練もないか。
ジョージ・A・ロメロ監督の『ゾンビ』、独特の世界観で楽しめたぜ!ってなところで「カット、カット」
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