清水崇監督の『樹海村』を観た。
『樹海村』 恐怖と人間ドラマが交錯する。 死者たちの怨念が渦巻く。 監督:清水崇 出演:山田杏奈 山口まゆ 神尾楓珠 |
大ヒット映画『犬鳴村』に続き、実在した心霊スポットを題材に描く「実録!恐怖の村シリーズ」の第2弾。
自殺の名所として世界的にも広く知られる富士の樹海が舞台。
インターネット上の怪談スレッドで「絶対に検索してはいけない」と語り継がれる通称「コトリバコ」と呼ばれる呪いの箱と、樹海がもたらす負の引力によって巻き起こる恐怖を描く。
『ジオラマボーイ・パノラマガール』『名も無き世界のエンドロール』の山田杏奈と、『相棒 劇場版IV』『僕に、会いたかった』の山口まゆが主演を務める。
安達祐実、原日出子、工藤遥、神尾楓珠らが共演。
『犬鳴村』に続き『呪怨』シリーズなどの清水崇監督がメガホンをとった。
保坂大輔が清水監督と共同で脚本。
2021年製作/117分/G/日本
配給:東映
関わった者は死に至り、家系も途絶えてしまうと伝えられる呪いの箱・通称「コトリバコ」が、富士の樹海の奥深くに封印されるが、それから13年後、天沢鳴(山口まゆ)と妹・響(山田杏奈)の前に、あの禍々(まがまが)しい呪いの箱が姿を現した。
それ以来、姉妹の周囲で異変が起こり始めて、樹海で消息を絶つ者が続出する。
やがて、その箱がもたらす凶悪な呪いが連鎖していくのだが・・・。
大ヒットした『犬鳴村』に続き、「恐ろしい村」シリーズの第二弾を打ち出したのが『樹海村』。
またも「Jホラーお馴染みのライヴ配信」で樹海の様子を撮影するアッキーナという女性が登場する。
心霊スポットにカメラを持ち込み、調子に乗りながら撮影して、心霊現象に襲われるというJホラー定番の安易な演出にゲンナリ。
観ている誰もが「今から心霊現象が起きますよぉ~」と想像出来るのである。
そして配信者の驚いた声と叫び声、カメラの乱れた映像が映し出されるが、こんな茶番を見せられて恐怖心など芽生えるわけがない。
リアリティーを出そうとするがあまり、思いきりワザとらしくなってしまうのだ。
今回は『犬鳴村』でも動画撮影をしていた同一女性だったという面白さや、前作を観ていた人たちへのサービスもあったと思うことだが・・・。
『犬鳴村』より
医者役で芸人の塚地さんが出演していたが、「何で?塚地さん?」と思ってしまった。
ホラー映画でお笑い芸人を起用することは結構リスキーである。
作り手は観ている人へ「恐怖」を与えたいわけで、お笑い芸人さんが出てくると、その緊張感が途絶えてしまう。頭の中で余計な情報が入ってしまうのだ。「塚地さんやん」って、気が散っちゃう。
後々、塚地さんが死んでしまうシーンを観て「あー、だから塚地さんが出演したのか」と納得したが、やはり無名の役者さんが死んでしまった方が怖かっただろう。
塚地さんが死んだシーンはすごく良いシーンだったので勿体ない。ホラー映画においてお笑い芸人の方を登場させると、観ている人は余計なことを考えてしまい映画に集中出来なくなるのだ。
良かったところと言えば、クライマックスの「樹海村」で樹海の恐怖が加速して死者たちが襲いかかってくる描写。海外のゾンビ映画とは違った日本ならではの、怨念が渦巻いた独特な見せ方が目を惹いた。
「樹海村」の謎と、母と娘、姉と妹の絆を、恐怖の真っ只中の隙間に差し込んで恐怖と人間ドラマを交錯させながら展開していくので、ホラーとしてのテンポは必然的に悪くなるが、物語上必要なシーンなので仕方ない。
主役の二人はなかなか死に至らないが、その他の人たちは呆気ないぐらいテンポ良く愉快な死に方をする。それも仕方ないと言えば仕方ない。
色んな表現手段で色んな試みや工夫がなされていたので、ひとつひとつの見せ方は面白かった。
次の映画は『牛首村』だということなので、こちらも楽しみにして待っておきたい、ってなところで「カット、カット」。
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