漫画原作『ホムンクルス』の実写映画を観た。
『ホムンクルス』 清水崇監督×綾野剛。 上手く二時間で構成させた秀作。 監督:清水崇 出演:綾野剛, 成田凌, 岸井ゆきの, 石井杏奈, 内野聖陽 |
『殺し屋1』などで知られる山本英夫の同名漫画を、清水崇監督×綾野剛主演で実写映画化。
名越役を綾野、伊藤役を成田凌が演じる。
内野聖陽、岸井ゆきの、石井杏奈らが共演。
2021年製作/115分/PG12/日本
配給:エイベックス・ピクチャーズ
記憶と感情を失くした名越進は、高級ホテルとホームレスがひしめく公園のはざまで車上生活を送る。
彼の前に医学生の伊藤学が現れて、期限7日間、報酬70万円を条件に、頭蓋骨に穴を開け第六感を芽生えさせるトレパネーション手術を受けることになる。
手術を受けた名越は、右目をつむって左目で見ると人間が異様な形に見えるように。
他人の深層心理が視覚化されて見えた異形たちを、伊藤はホムンクルスと名付け、名越はその能力で心の闇を抱える人たちと交流していく。
『ホムンクルス』を観たが、コミック版での原作は読んだことがないので原作との整合性は抜きにして、実写映画版を観た感想を綴っていく。
監督が『呪怨』の清水崇監督で割と好きな監督であり、期待も持てた。
映像もカッコイイし、主演の綾野剛もイイし、映画の世界観もバッチリ構成されていて、少ない登場人物で魅力的に仕上げていた作品である。
頭蓋骨に穴を開けたことによって人間の深層心理が視覚化出来るようになった綾野剛演じる名越の表情や、その左目に映し出される奇妙で不気味な映像が「清水崇監督を起用した」ことが納得出来るホラー感のある演出で面白い。
名越は他人の深層心理の異形、言わばホムンクルスを見て関わっていくことの最中で、自分自身の記憶と感情を取り戻していくが、それは衝撃の事実を思い出す結果へと繋がっていく。
そんな物語を、わずか約二時間の尺で、ここまで上手く集約させて物語にしたことが素晴らしい。
ミステリーと、ホラー要素も盛り込みつつ、しっかりと人間ドラマを描ききった作品なのだ。
ラスト、「え?それでエエんか?」という結末であったが、それ以外の選択肢がなかった気もする。
人を見ようとしなかったカラッポだった名越が、人と真正面から対峙して、過去も、現実も、人の抱える心の闇までも見ようとしているのだから。
本作は、斬新なアイデアである漫画原作と、清水崇監督×綾野剛という魅力的な化学反応がもたらした秀作である。
僕もまた自分自身のホムンクルスが何であるのか?気になった、といったところで「カット、カット」。
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