『キャンディマン』のリメイク版が2021年10月15日から日本で公開されるということで、1992年に製作された『キャンディマン』を観た。
『キャンディマン(1992)』 優れた脚本。 主役女性に起こり続ける災難。 監督:バーナード・ローズ 出演:ヴァージニア・マドセン トニー・トッド ザンダー・バークレイ |
キャンディマンという伝説の殺人鬼に生け贄として目を付けられてしまった大学院生の悪夢を描いたホラー。
原作は英国のスティーブン・キングと呼ばれるクライブ・バーカー。
バーナード・ローズが脚本と監督。
ミニマル音楽の巨匠フィリップ・グラスが音楽を担当。
シガージョン・サイヴァットソン、アラン・ポール、スティーブ・ゴーリンが製作。
原作のクライブ・バーカーがエグゼクティヴ・プロデューサを担当している。
アンソニー・B・リッチモンドが撮影、ボブ・キーンが特殊視覚効果、編集はダン・レイ。
1993年アヴォリアッツ映画祭で主演女優賞、音楽賞、観客賞を受賞。
1992年製作/アメリカ
原題:Candyman
配給:パイオニアLDC
鏡の前でその名前を5回唱えると現れるという“キャンディマン”の伝説を研究していた女子大生ヘレンの前に、謎の黒人が現れる。
彼こそキャンディマンであった。
鏡の前で「キャンディマン」と名前を5回唱えるだけで殺人鬼キャンディマンが現れるという安易な設定とは裏腹に、非常にしっかりとした脚本で、キャンディマンが襲いかかってきて逃げ惑うだけのホラー映画ではなかった。
キャンディマンの謎を探る女性が最悪な状況に追い込まれていくが、あまりにも悲惨で可哀相過ぎる。
強烈にど汚いトイレで暴行を受けて目が腫れ上がったり、終始「一瞬で殺される」よりも悲惨な目に合い続ける。
これが本当の「悲惨な目」。
さすがに笑わせようとしているのか、と疑いたくなるほどの目の腫れようだが、こんなのは「被害者」であることの方がマシな序盤の序盤。
何故か被害者であったはずの彼女が、どんどん加害者になっていくのだから恐ろしい。
「殺人鬼に殺される」ことよりも、「自分が殺人鬼に仕立てられる」ことの方が遥かにずっとイヤだ。
気を失って目が覚めると血だらけになっていて、近くから女性の絶叫する声が聴こえるというシチュエーションは、あまりにも怖すぎる最恐の演出であった。
キャンディマンに罪を被せられて、被害者であったはずの彼女は気が付けば連続殺人犯。
顔中にミツバチがたかり、死にたくなるほどの気持ち悪い状況。
これが本当の「虫の息」。
飴のようには全然甘くはないよ、キャンディマンのイヤがらせ。
ラストも最高だったな。炎に包まれて髪の毛が燃えてなくなったが、何とか赤ちゃんを救出。
これが本当の「危機一髪」。
遂には自分が本当に殺人鬼になっちゃうんだから、優れた脚本である。
キャンディマンに追い込まれていく女性を見事に描いたホラー映画であった、といったところで「カット、カット」。
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