無人車が人間を襲ってくるという『ザ・カー』を観た。
『ザ・カー』 不気味な車にワクワクする。 人間を襲う描写も魅力的。 監督:エリオット・シルヴァースタイン 出演:ジェームズ・ブローリン, キャスリーン・ロイド, ジョン・マーリー, R・G・アームストロング |
突然、無人の車(カー)が人を襲ってくるサスペンス映画。
『馬と呼ばれた男』のE・シルバースタインが監督。
デニス・シュラック、マイケル・バトラー、レーン・スレートが脚本。
レナード・ローゼンマンが音楽。
オカルト・ブーム末期に登場した変種ホラーで、陸のジョーズを狙った造りである。
1977年製作/アメリカ
原題:The Car
配給:ユニヴァーサル=CIC
中西部の田舎町に突然出現した黒塗りの車が、無差別に殺人を繰り返していた。
それが無人車であり超自然的な力で動いていることを、保安官は突き止めるが。
無人の車が襲ってくるという恐怖を描いた本作は個人的に好きな設定で、「何の理由で?」「何の目的で?」車が襲ってくるのか意味不明だからこそワクワクする。
先日観たジョン・カーペンター監督の『クリスティーン』でも無人の車が襲ってくる設定が非常に楽しめたので、本作を観る運びとなった。
『ザ・カー』というシンプル過ぎるタイトルにも気持ちをそそられる。
デヴィッド・クローネンバーグの『ザ・フライ』も「ハエ」をそのまんまタイトルにしていて魅力的だが、『ザ・カー』も「車」とシンプルにタイトルにしているところが好きなのだ。
オープニングで自転車に乗り、楽しくサイクリングしているカップルを襲うシーンからワクワクが止まらないのである。
楽しいシーンから一気に恐怖へと暴走させていく表現が、最高にテンションをあげてくれる。
楽し気にギターを弾いた若者の登場はコミカルでさえあったが、殺人車をヒッチハイクしようとしたところ、まんまと餌食になってしまう恐怖への転換。
物語自体は正直どうってこない話ではあるが、砂煙をあげながら現れる殺人車の不気味さや、登場した際の音楽などが心を弾ませてくれる。
殺人車が墓地には入れないという設定は意味不明だが、意味あり気で愉快でもあるし、殺人車に立ち向かう保安官の風貌も良い。
一番恐怖だったのは、ヒロインである女性の家に殺人車が突っ込んできたことだ。
家にいても襲ってくるのであれば、もう本当に逃げ場がない。
だからと言って安全地帯である墓地に隠れ続けるわけにもいかない。
色んな状況下で色んな角度や表現方法を駆使しながら、車が人間を襲うという魅力的な描写が楽しめた、といったところで「カット、カット」。
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