「キングスマン」シリーズ三作目を観たのだ。
『キングスマン ファースト・エージェント』 ラスプーチンとの格闘が山場。 もっとバカバカしいアクションが観たかった。 監督:マシュー・ヴォーン 出演:レイフ・ファインズ ジェマ・アータートン リス・エヴァンス |
第1次世界大戦前夜のヨーロッパを舞台に、スパイ組織キングスマンの誕生秘話を描いた「キングスマン」シリーズの三作目。
シリーズ全作を手がけるマシュー・ボーンが監督、脚本、製作を務める。
「ハリー・ポッター」シリーズでも活躍する英国の名優レイフ・ファインズがオックスフォード公を演じる。
『マレフィセント2』『ブルックリンの片隅で』の新鋭ハリス・ディキンソンが息子のコンラッドを演じた。
怪僧ラスプーチンに個性派俳優のリス・エバンス。
2021年製作/131分/PG12/アメリカ
原題:The King’s Man
配給:ディズニー
イギリス、ドイツ、ロシアといった大国間の陰謀が渦を巻き、第1次世界大戦勃発の危機が迫る中で、コンラッド(ハリス・ディキンソン)は父親のオックスフォード公(レイフ・ファインズ)に連れられ、スパイ組織キングスマンの一員として迎えられる。
世界に迫る危機を回避しようと動き出す二人の前に、怪僧ラスプーチン(リス・エヴァンス)が立ちはだかる。
「キングスマン」シリーズは好きなシリーズものであり、第三作目となる本作は前作の続編ではなく、エピソードゼロ的なキングスマン誕生秘話に遡る。
時代は第一次世界大戦という、なかなかハードな舞台。
歴史上の人物を交えながらフィクションを織り込んでいく新しいスタイルの「キングスマン」。
「キングスマン」といえばバカバカしいアクションが印象的で、壮絶なミッションをクリアするために結構味方も犠牲になって命を落としていく作品だ。
第一次世界大戦が舞台となると一体どうなってしまうのか?そんな一抹な不安が残る。
幼き頃に母を失ったコンラッドが主人公の物語かと思っていたら、青年になったコンラッドが戦死してしまう。
主人公は妻と息子を戦争によって失ったオックスフォード公で、青年を主人公にせぬところが渋いぜ。
ラスプーチンとの格闘は「キングスマン」らしくて面白かったが、コンラッドが戦場に行ったくだりは「キングスマン」らしからぬ真面目な戦争映画。
まるで『1917 命をかけた伝令』を観ているかのような錯覚を起こしてしまう程に、「キングスマン」ではなかった。
流石にバカバカしいコミカルなアクション描写をすることが出来なかったのだろうか。命がけの戦場シーンで茶化すことは難しい。
真面目な「キングスマン」を受け入れられるかどうかが、本作を受け入れられるか否かの分かれ道だと思う。
残念ながら僕は受け入れられなかった。「キングスマン」と別モノであると意識すれば、良く出来た戦場シーンであったが、従来の「キングスマン」を期待している者にとっては不本意なシーンなのだ。
コンラッドの悲劇を描くには致し方ない部分ではあるが、イメージしている「キングスマン」とのギャップが大きすぎる。
今までピョンピョン飛び跳ねたりクルクル回転していたりしたにも関わらず、フツーに戦争映画をやっているのだ。
戦争映画が終わった途端に、オックスフォード公が飛行機でのパラシュートのアクシデントが起きたり、墜落した先でメチャクチャな九死に一生を得る展開になったりして、急に「キングスマン」に方向転換することになる。
元々このテンションのままで突っ走てくれていれば良かったのだが、拍子抜けしてしまった感があるのだ。
ラストの格闘シーンも面白かったが、ラスプーチンとの格闘が一番面白かったので、残念なクライマックスになってしまった。
それなりには楽しめた作品ではあったが期待以上ではなかった。次なるシリーズ四作目に期待したい、といったところで「カット、カット」。
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