二・二六事件を描いた『226』を観たのだ。
『226』 詳細を知らない人には不親切な内容。 感情移入出来る流れが欲しい。 監督:五社英雄 出演:萩原健一, 三浦友和, 南果歩, 名取裕子, 竹中直人 |
二・二六事件の発生から終結までの四日間を五社英雄監督が描いた。
原作・脚本を『肉体の門(1988)』の笠原和夫が務める。
1989年製作/114分/日本
配給:松竹富士
昭和11年2月26日に昭和維新を掲げた陸軍の青年将校たちが、1500人にも及ぶ決起部隊を率いてクーデターを起こした。
雪の降る中、岡田首相、高橋蔵相、斎藤内大臣、鈴木侍従長などを襲撃して、翌27日に戒厳令が施行され、決起部隊は原隊への復帰命令を受ける。
原隊からの食糧提供も止められ、将校たちは自分の家族や恋人のことを思い返していた。
二・二六事件を題材にした本作だが、 陸軍皇道派の青年将校がクーデターを起こした経緯を詳しく描いていなかったのが不親切であった。二・二六事件のことを全く知らない人が観ても理解出来る物語にしておかないと、結局最後まで事件のことを伝える役割は果たせない。
またクーデターを決行した2月26日から映画がスタートするので、一番の山場が映画の冒頭になってしまったのだ。
二・二六以降は、青年将校たちが悲愴な顔をしているだけで映画を引っ張っていかなきゃならない。
1936年の時代背景と共に、クーデターを起こした経緯と、山場である二・二六事件、青年将校たちの行く末を見せる作りにしておかないと感情移入も出来ない。
歴史に刻まれた事件の流れだけを見せても映画としての魅力はなく、出来事をなぞるだけであればネット等で調べればイイのである。
天皇親政を目指していた青年将校たちの自らが起こしたクーデターによって、天皇を激怒させ「反乱軍」と見なされ鎮圧される彼らの胸中を描いていくことも確かに大事なドラマではある。
だがその大事なドラマも幾人かの女優を登場させて、安っぽいメロドラマを作り上げているにしか他ならなかった。妻や恋人、幼き子供の回想シーンを並べて涙を浮かべるシーンは多用するべきではない。ひとつあれば十分だ。
本作の見どころは物語云々ではなく、昭和の豪華キャストが集結していることだろう。
ショーケン、三浦友和、丹波哲郎、梅宮辰夫、松方弘樹等々、とにかく豪華なキャストで埋め尽くされている。
二・二六事件について見識を深めた上で本作を観るのが望ましいと言える、といったところで「カット、カット」。
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