シャマラン監督の『オールド』を観たのだ。
『オールド』 急速に老化していくパニック。 人間模様と心理描写。 監督:M.ナイト・シャマラン 出演:ガエル・ガルシア・ベルナル ヴィッキー・クリープス ルーファス・シーウェル |
『シックス・センス』『スプリット』などのM・ナイト・シャマラン監督による、急速に年老いていくという不可解な現象に見舞われた一家の恐怖を描いたサバイバルスリラー。
主人公一家の父親役を『モーターサイクル・ダイアリーズ』のガエル・ガルシア・ベルナルが演じる。
『ファントム・スレッド』のヴィッキー・クリープス、『ライ麦畑で出会ったら』のアレックス・ウルフ、『ジョジョ・ラビット』トーマシン・マッケンジー、エリザ・スカンレンらが共演。
2021年製作/108分/G/アメリカ
原題:Old
配給:東宝東和
人里離れた美しいビーチにバカンスを過ごすため美しいビーチを訪れ、楽しいひと時を過ごすキャパ一家。
そのうち息子のトレントの姿が見えなくなり捜してみると、彼は6歳の子供から青年(アレックス・ウルフ)へと成長した姿で現れる。
不可解な事態に困惑する一家は、それぞれが急速に年老いていることに気付くが、ビーチから逃げようとすると意識を失なってしまい脱出することが出来ず・・・。
「急激に老化していくビーチ」という発想が面白く、30分毎に1年老化して1日経てば50年老化してしまう、絶対に行きたくないビーチ。
髪の毛や爪等は成長していかないと説明があったが、ツッコミどころも色々と見えてきそうだ。
例えば、子供たちが食べ物を貪り喰っていたが、排泄のスピードは変わらないのだろうか。結構、都合のイイ「老化設定」だったとも言える。
賛否を巻き起こすシャマラン監督作品であるが、本作は展開スピードも良く非常に楽しめた。
ひとつのビーチに色んなタイプの人たちが集められたのも良い。急速に老化していくことでパニックを起こしたり、逃げ出そうとしたり、死人が出たり、争ったり、色んな人間模様の心理描写を見せることでスリリングな気持ちがヒートアップする。
精神を病んだ医者が殺人鬼になっていくことで、老化とは別の恐怖をプラスすることが出来た。
母親の腫瘍を摘出する手術シーンは見事だったが、「ナイフ一本で、そんなに簡単に出来るの?」とも思った。細胞が超スピードで繋がることによって、縫い合わせる必要がないので可能なのか。
ビーチを管理して医薬品の実験をしているホテルのヤツらも、もっとこのビーチの秘密を調査して、手術等の治療に役立たせればイイのに。傷口を一瞬で塞いであげたり、事故で負傷した人を一瞬で完治させたりするような研究が上手く行けば、大金を支払ってでも治療をお願いしたい人たちが沢山出てくるだろう。
「急速老化ビーチ」も活用方法では何か素晴らしいことに役立てないかと考えるが、それだとホラーが成立しない。老いていく恐怖に慌てふためくのが妥当なのである。
本作では子供が成長していく姿が見ものだ。髪型やホクロの位置を崩さずに変化を遂げていく過程が面白い。一晩明けて50代になっていたのは見事である。
撮影も色々と工夫がなされ、対象物を敢えて見せないで撮影したり、役者の顔のどアップや頭上からのロングショット等、奇妙な雰囲気を漂わせた撮影表現が物語の中にズルズルと引き込ませていく。
シャマラン監督のアイデアが詰まった楽しめるホラーであった、といったところで「カット、カット」。
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