ジョージ・A・ロメロ監督のゾンビ三部作の第三作目を観たのだ。
『死霊のえじき』 ペット化したバブゾンビ。 素晴らし過ぎる結末。 監督:ジョージ・A・ロメロ 出演:ロリー・カーディル リチャード・リバティー ジョン・アンプラス |
ジョージ・A・ロメロ監督による『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』『ゾンビ』に続く「ゾンビ」シリーズ第3弾。
1985年製作/102分/アメリカ
原題:Day of the Dead
地球全土がゾンビで完全に埋め尽くされたアメリカ・フロリダ州郊外の地下基地では、ゾンビを研究するサラやローガン博士など生き残った少数の人間たちが立て篭もり、ゾンビの研究と生存者の捜索を行っていた。
圧倒的多数のゾンビに支配された状況では有効な打開策があるはずもなく、先の見えない行き詰まる日々の中でローガン博士が1つの成果を見せる。それは、あるゾンビをしつけ飼い慣らすことであった。
肝心の研究は遅々として進まず、人間同士の対立も絶えない。そして基地内にゾンビたちが侵入した時、サラたちの運命は・・・?
地下施設内でゾンビを研究している博士が、ゾンビと心を通わせるという狂った偏愛。
ゾンビになれば見境なく人を襲うだろうと思われたが、まるでペット化したかのように見えるバブゾンビ。
本作はバブゾンビの生態と活躍が著しく笑えるハートフルゾンビアクションである。
地上はゾンビで溢れ返っていて、地下施設内では少数の人間が避難している。
そして案の定、人間同士で対立をするから愚かしい。少数の人間たちは協力して生き延びようとすることなく、必ず対立構造になるのだ。
その人間ドラマにも注目だが、やはりバブゾンビの存在から目を離せない。
中でもバブゾンビが拳銃の扱い方を覚えたことに「んな、アホな」とツッコミを入れたくなったが、ゾンビ映画の生みの親であるジョージ・A・ロメロ監督が撮るのだからツッコミを入れられるわけもなく、ロメロ監督の作り出したゾンビが元祖・本家・パイオニアなのだから一番正しいに決まっているのだ。
人間がゾンビに喰いちぎられるシーンも楽しく、簡単に皮膚が剥がれ胴体が真っ二つになる光景には、「ゾンビの破壊力って凄まじいんだな」と感心させられる。
やはりラストの展開は秀逸であった。逃げ惑う悪党ボスに銃を発砲するバブゾンビ。ボスが大扉を開けたら大量のゾンビで溢れ返っている。思わずドリフのコントを思い出してしまった。志村けんが幽霊から逃げた先で幽霊の大群が現れ絶叫する。ドリフは本作からパクッたのだろう。
そしてバブゾンビの発砲する銃弾に倒れるボス。ゾンビの大群の餌食になるボス。敬礼をするバブゾンビ。素晴らし過ぎる結末。美し過ぎるではないか。
ゾンビ三部作と言われているが、どれも違った切り口でゾンビを表現するロメロ監督の豊富なアイデアには驚かされるばかりだぜ、ってなところで「カット、カット」。
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