人間は勝手だ。
自然破壊も原発も戦争も人間がいなくなれば全部解決する。
そうはいかないが、だからこそ勝手なのだ。
犬や猫をカワイイと撫でるが、クマが出没すれば撃ち殺す。
蚊やゴキブリが出れば叩いて潰す。
「自然破壊はやめましょう」と唱えながら、排気ガスを撒き散らして車に乗っている。
戦争反対を訴えていても、身近な人間関係でさえ絶えず誰かと争っている。
人と人とが殺し合うのは愚かな行為であり、無論人類が消えて欲しいなどと思いはしない。
自分たちの都合の悪い汚い部分には目を背け、綺麗ごとを楯に正義感を振りかざしていることに虫唾がはしるのだ。
ヘドロまみれ欲まみれの人間が今日も私腹を肥やし高笑い。
空は霞み、風は汚れ、大地は乾く。
ミサイルが飛び交い、血が流れ、悲鳴が聞こえる。
他の生命体からすれば、人間が最も地球の害悪なのである。
便利な暮らしをやめられない。
無駄なものが増え、ガラクタで溢れ返り、消化出来ないまま捨てられる。
人間は偉そうな顔をして何も知らずに歩いている。
そんな人間もいつかはポイ捨てされる。
皆、孤独だ。
孤独が故に、欲望を喰い散らかしている。
渇望した愛情がひび割れた大地のように果てしなく広がっていく。
枯れた木の下で一人隠れて泣けば、零れ落ちた涙が大地を濡らすだろう。
争いの果てに流れた嘆きの血が大地に染み渡るだろう。
雨が降り、川が流れ、やがて僕たちは死にゆく。
汚染された街のゴミ屑がモクモクと煙をあげて天へ伸びた時、誰が両手を合わせて祈るだろう。
足場のない死体の山を乗り越えながら、踏みつけられた屍たちに唾を吐く。
「一体、君は誰?」
僕は誰?
体中を蝕むウジ虫たちが蠢いていて、僕の目にえぐり込む。
原発が爆発しました。
放射能が空を覆い、生きものたちが雄叫びをあげて、ガスマスクを装着して防護服を着た人たちが平和だったはずの暮らしの中を行進している。
何の罪もない生きものたちの棲み家が汚され、行く当てもなく彷徨う。
見渡す限りの墓標が建ち並び、人間が人間を殺したのだと逃げ出したい世界に埋もれていくのか。
割れんばかりの頭蓋骨がキリキリと痛むんだ。
殺したくなる程の純情が真っ赤な血しぶきをあげる。
膝から崩れ落ち絶望の淵に突っ伏した時、乾いた大地から悲しみの芽が息吹いたら、いつか優しい花が咲いてくれればいいな。
花が咲いたよ。
こんなくだらない世界に、花が咲いたよ。
こんなくだらない人生に、花が咲いたよ。
こんな小さくて美しい、花が咲いたよ。
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