昨日、NHKで手塚治虫先生のことを語るテレビ番組を観ていたら園子温監督が出ていて、「自分の中に手塚治虫が流れてる」というようなことを言っていて感動した。
それは手塚治虫の『火の鳥』の魂のように、脈々と作品を通して受け継がれていく輪廻である。
僕も手塚治虫先生が好きで、特に子供の頃は読みあさった。
そして作品を通して受け継がれた魂は、園子温監督にも受け継がれて、また僕は園子温監督に影響を受けている。
園子温監督が10代の頃に観たスタンリー・キューブリックの『時計じかけのオレンジ』で映画監督を目指したように、僕もスタンリー・キューブリックが好きで、ある時期キューブリック作品を追いかけて関連本も読みあさっていた。
今回僕は20年ぶりに『時計じかけのオレンジ』を観たのであった。
『自転車吐息』 若き園子温監督のパワー。 鬱屈した想いが爆発する。 監督:園子温 出演:園子温, 杉山正弘, 河西宏美 |
若き園子温監督のパワーが見える。
鬱屈しながらもどこかへ走り出していきそうな。
草野球の白線であったり、「俺」と書いた大きな白い旗を掲げて夜の街であったり、自転車に乗りながらどこまでも走っていく姿であったり。
それらは映画としての「画(え)」的にも面白い。
海のそばの堤防で燃える自転車や、車道のど真ん中を歩く少女など、ただの青春映画としては片付けられないパワーと才能が感じられるのだ。
『ちゃんと伝える』 園子温らしからぬ園子温らしい作品。 AKIRAの素朴な演技に注目。 監督:園子温 出演:AKIRA, 伊藤歩, 高岡蒼甫 Amazon |
園子温監督らしくない作品だなぁと思いながら観ていて、だけど園子温監督の作品だなぁと感じた。
自分自身の父親に捧げたこの作品は、「ちゃんと伝える」というストレートなメッセージに想いを込めている。
EXILEのAKIRAが主役であるが、派手さはなく素朴な青年を演じきっている。
『時計じかけのオレンジ』 非の打ち所がない圧倒的名作。 50年前の作品だが斬新な映像表現。 監督:スタンリー・キューブリック 出演:マルコム・マクドウェル, パトリック・マギー |
やはり圧倒的名作。
1971年の映画だけど、現代に観ても新しく斬新。
20年前に観た時もそう思った。
映像表現も面白い。
カラフルな部屋や家具、服装や絵画など、一枚の絵としても見ていて面白い。
病院などでは無機質に描き、カラフルな世界観との対比も面白い。
音楽も効果的に使っている。
金持ちの作家のジジイが最高に素晴らしい。
前半での見事なヤラレっぷりもそうだし、後半で風呂場で歌うアレックスの声を聴いて、ブルブルと白目をむいて震えるシーンなんて最高すぎる。
まさしく非の打ち所がない名作。
『気球クラブ、その後』 美しき女性陣。 気球クラブに入りたくなる。 監督:園子温 出演:深水元基, 川村ゆきえ,長谷川朝晴, 永作博美, 西山繭子 |
あぁ青春映画。
女性陣が美人過ぎて困るけど、美人でないと成立しない。
大体こういう気球クラブみたいなクラブに集まってくる女性はブチャイクばっかりだろうという偏見がある。
気球は浮かんでも、気持ちは沈むわ!みたいな。
それが川村ゆきえと永作博美ときたもんだから、このクラブに入りたくなる。
若者たちの青春映画というのは、大体はシラけちゃう。
特に大学生の浮かれた感じなんてのは虫ずが走って蹴散らしたくなるのだが、この映画は好き。
仲間たちと盛り上がって、時間とともにいつしかシボんでいく感じ。まさしく気球。
クラブの集まりなんて、そんなものだ。
永作さんもカワイイし、イイ映画である。
この記事へのコメントはありません。