新宿武蔵野館にて、『蠱毒 ミートボールマシン』を観たのだ。
現代の閉塞感で息苦しい日本を、気持ちいいぐらいにぶっ壊してくれる超パワフルな映画である。
この世界観を作り上げただけでも敬服。
漫画原作やアニメ、小説が原作で映画化して世界観を作り上げるモノは多いが、オリジナル原作で、とことんまで世界観を作り上げることは、制作者にとてつもないエネルギーと映画に懸ける情熱や集中力や体力、いわば「殺意」のような命懸けの狂気がないと全う出来ない。
海外の映画祭で本作が、大盛り上がりになるのがわかる。
映像と音楽が流れ始めた瞬間から、観客は血沸き肉躍るのだ。
序盤での人間ドラマによる主人公の悲哀が、ミートボールマシンの戦闘にまた拍車をかける。
悲哀を描くことで、血みどろのスプラッターなグロい表現が、人間をもっと深く深くえぐり出すのだ。
単なる戦闘モノではなく、単なるグロさが売りの映画ではない。
気持ち悪い血飛沫と内臓や腸がグロさを超越して、美しい芸術作品を堪能している錯覚に襲われる。
ミートボールマシンにとっては、真っ二つに割れた人間が武器になり、生首が武器になる。
残酷な修羅場の中に、何故か笑いがあり、「もっとやれ~っ!!!」と興奮させる残虐エンターテイメントにメロメロになる。
美しい女性は清楚でどこか寂し気でありながらも、何の躊躇もなくオッパイをむき出しにする。
オッパイは癒してくれたり、オッパイは強烈な武器になったりするのである。
そして何と言っても、この映画は純愛ラブストーリーなのだ。
これほどまでに純愛を描くラブストーリーはない。
グロさを徹底的に表現したからこそ、一粒の涙は、激しくも優しい純粋な愛の結晶なのだ。
スカイツリーをど真ん中にドスン!と透明な円柱の壁を作ったアイデアも良く、外部から一切手出し出来ない閉じ込められた空間の中での殺戮。
発想が、どんどん発想をぶっ壊して、どんどん発想を飛び越えて、観客の脳内をぐっちゃぐっちゃにかき回して、視界いっぱいに飛び散る血と肉に感動するのだ。
日本映画はまだまだやれる!そんな感動と勇気を与えてくれて、腑抜けなこの日本に超ド級の元気を与えてくれる映画なのである。
この日のトークショーでは、『蠱毒 ミートボールマシン』の西村喜廣監督と、過去作の高橋一生さん主役の『ミートボールマシン』の山口雄大監督と山本淳一監督と、山口幸彦プロデューサーの4名でのトークが行われた。
高橋一生さんの『ミートボールマシン』の撮影時に色々あり、12年間、会うこともなく仲違いしていた山口雄大監督と山本淳一監督が、皆で言いたいことをぶちまけた後、無事に仲直り。
年月が経つという事は、良いことも悪いことも沢山ある。
それぞれの人生の中で色んな経験をして成長して、一回りも二回りも大きくなったから、笑顔で握手出来たのだ。
高橋一生さんの『ミートボールマシン』も、めちゃくちゃ面白く好きな作品。
この作品も純愛であり、悲哀の中で、戦い、愛を知る。
最後に、山本淳一監督と15年ぶりに僕も再会。
当時は映画の現像会社で一緒に勤めていて、山口雄大監督の自主映画やジャッキーチェンの映画を観に行ったり、僕の自主映画に出てもらったりした。
山本淳一監督の初代『ミートボールマシン』の劇場公開時は僕も観に行ったりと。
山本淳一監督作品『ガールフレンド・ストラトス』では、僕もリンチされるサラリーマン役での出演と助監督を担当して、『ガールフレンド・ストラトス』が劇場公開した時に会った時以来。
僕が手に持っているのは、初代『ミートボールマシン』のビデオ。
『ミートボールマシン』最高です!!!
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