細田守監督の最新作となれば、劇場に観に行こうかと悩んだ。
作品の善し悪しを語るのも、劇場に足を運んだ人だからこそ説得力があるのかもしれない。
僕は劇場に足を運ばず、結局レンタルで細田守監督の最新作『未来のミライ』を観た。
説得力はないけれど、「あー、レンタルで良かった」そう胸を撫でおろした。
『未来のミライ』 何でもアリのやりたい放題。 ブッ飛び過ぎた細田イズム。 監督:細田守 出演:上白石萌歌, 黒木華, 星野源 |
細田守監督の新作、楽しみにしていた作品。
子供がいる親の立場の人なら、自分の子供に投影して、涙したり笑えたりするのかもしれない。
僕は泣けもしないし、笑えもしない。
あまりにもブッ飛び過ぎ。何もかもやりたい放題。
細田守監督の人の良さは滲み出るほど伝わってきて、人間性は素晴らしい人だと思うけど、薄汚れた僕にはついていけない世界。
未来から来たミライと、ペットの犬と、くんちゃんという4歳の男の子と、パパに存在がバレないように隠れながら「ひな人形を片付ける」というミッションを遂行するために、ドキドキハラハラ、皆でチカラを合わせて頑張るシーンがある。
いやいや、未来から来たミライよ!パパが部屋にいない時に来ればイイやん!
細田守監督の想像力が豊かなのはスゴイが、ただのやりたい放題。
観ている人はついていけない。
強い風に吹かれてみたり、雨に打たれて転んでみたり、空を飛んでみたり、風景は変わり放題、好き勝手にやっているだけ。
くんちゃんの声も4歳の男の子には聞こえなかった。
『となりのトトロ』のメイは子供の無邪気さがすごく可愛いけど、『未来のミライ』のくんちゃんは子供の無邪気さがなかなかウザイ。
『要塞警察』 夜の闇の中、音のない銃撃。 逃げ場のない恐怖の死闘!! 監督:ジョン・カーペンター 出演:オースティン・ストーカー,ダーウィン・ジョストン, ローリー・ジマー Amazonで探す |
父親と娘、ほのぼのとした幸せの風景、アイスクリーム屋での銃殺シーンは、冷酷かつ残忍で衝撃的でシビれた!
移動準備中の警察署で、警官や死刑囚、女性職員数人だけで、襲ってきたギャング集団と戦うという、なかなかの心躍る設定も最高だ。
ギャング集団の警察署に向かって撃ち込まれるサイレンサーでの銃弾は、音がないぶん迫力には欠けるものの、音もなく人を殺すというシーンは、音がないぶん恐怖感は増幅する。
夜の闇の中から、銃弾だけが迫ってきては、血の雨が降り注ぐ。
ジョン・カーペンター監督『遊星からの物体x』の、得体の知れないエイリアンと無我夢中で必死に戦う人たち、そんな恐怖と通ずるものがある。
『六月の蛇』 ブルーの色彩と六月の雨。 黒沢あすかの全裸とハゲ頭。 監督:塚本晋也 出演:黒沢あすか, 神足裕司, 塚本晋也 |
電話相談室で悩める人の相談に乗っている黒沢あすかが、自殺をとどめた男から脅迫を受けるようになる。
黒沢あすかの自慰行為の写真を盗撮していた塚本晋也演じる変態男に、「電動こけしを買ってこい」と言われて、怯えて震えながら、電動こけしを買いに行く黒沢あすか。
何という馬鹿げた脅迫だろうか!!
そんな馬鹿げている脅迫を大真面目にしている塚本晋也と、そんな馬鹿げている脅迫に怯えながら悶えている黒沢あすか。堂々とスキップしながら、電動こけしを買いに嬉々として電動こけしを使用していたら、一体どうなっていたのだろうか?
モノクロ調なブルーの色彩で妖艶で美しい映像と六月の雨が、映画をドラマティックに演出する。
雨に打たれながら、全裸になり自慰行為をする黒沢あすかの女優魂と美しさに圧巻。
旦那役の男が、わざとらしい棒読みであり、思いっきりハゲ頭である事も、映画の持つ雰囲気を妖しくしている。
ハゲ頭が大勢出てくるシーンは、シュールだが最高にアートである。
カッコイイ紳士を旦那役にキャスティングしなかった事が、塚本監督の憎らしいセンス。
エロティシズム、性欲、一歩間違えれば笑えるコメディーを真っ向から大真面目に撮って、妖しくて美しい作品に完成させている。
『MEG ザ・モンスター』 デカイが迫力はない。 悪くはないけど大味。 監督:ジョン・タートルトーブ 出演:ジェイソン・ステイサム Amazonで探す Amazon Prime Videoで観る |
『ジョーズ』という大ヒット作がありつつも、サメ映画に挑んで、世界中で大ヒットさせた功績はスゴイ!
この映画に出てくるサメは、とにかくデカイ。デカイが、ただそれだけの気がしてならない。すごく大味な映画。
サメが暴れて、ジェイソン・ステイサムがカッコ良いヒーローをする、単純明快な映画。決して退屈な映画ではないけど、ずっと物足りなさがある。
登場人物が無駄に多いなぁと思ったりするが、サメと戦う時は逆に「そんなに少人数で大丈夫?」って気になる。
最初、大型の潜水艦が、サメの攻撃でボロボロになるのに、何でそんな小型な乗り物で戦うんだ?!
そんな疑問がいっぱいで集中出来ない。
もっと大人数で、もっとデカイ乗り物で、もっと破壊力のある攻撃すればイイやん!!
なんでサメが食べやすい、一口サイズのスッポリ入る乗り物で立ち向かっているのかは不明。
デカイ乗り物をデカイサメがぶっ壊すからこそ、サメの恐ろしさが出るのではないか。
それと不謹慎ではあるが、映画の世界ではサメがバンバン容赦なく人を喰った方が観ている人も面白いはずなのだ。
大人の事情なのか?人はそれほど多くサメに食べられない。サメが人を喰い散らかす残酷表現がいっぱいあった方が、個人的には嬉しかった。
海水浴場でサメが人を喰い散らかし、手足が喰いちぎられて生首が浮かぶ、真っ赤な血の海になれば最高であった。
それがサービス精神というものだろう。
デカイだけで迫力もなかったし、人間ドラマに感情移入する事もなかった。
退屈な映画ではないけど、もっと大暴れして欲しかった。
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